忍者ブログ

雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

カナリークサヨシ/カナリアの餌にどうぞ/2020.5.31

IMG_0999
カナリークサヨシ(可那利草葦)/イネ科クサヨシ属
ヨーロッパ原産の外来種 花期は5〜8月 江戸末期にカナリアの餌として渡来

以前から実際に見てみたいと思っていた雑草の一つである。ようやく会えた。5月10日にアップした「カモガヤ(鴨茅)」に続く「鳥の餌シリーズ」の第二弾である。

IMG_1002
IMG_1014
イネ科の撮影は大変である。細い上に背が高く、全体を写真に収めようとすると背景にまぎれて見えなくなってしまう。草丈は1メートルを少し超えるぐらいである。

名前の由来はカナリア諸島からきているが、それはペットであるカナリアも同じである。カナリア諸島はアフリカ大陸の西に位置するスペイン領の島で、そこから「カナリア諸島の鳥=カナリア」ということなのだが、周辺のマデイラ諸島、アゾレス諸島(いずれもポルトガル領)にもカナリアは生息している。最初に「名付けたもの勝ち」のような話である。カナリークサヨシも地中海沿岸や西南アジアまで分布している。

IMG_1010
まだ小さなカナリークサヨシ。30センチほど。この場所に生えていたのは5本ほど。

「カナリア」はラテン語で犬を意味する。島に野犬が多かったからそう名付けられたらしいが、野犬といえば狂犬病だ。そんな物騒な名前が今では美しい声で囀る華奢な鳥のイメージになってしまった。この植物はカナリアの餌として渡来したというが、資料を2つあたってみても確認はできなかった。わざわざ餌として輸入しなくとも稗とか粟で何とかなるんじゃないかと思う。牧草に紛れ込んでいたのではないか。

実際にカナリアの餌として輸入されたとしたら、その価格は高いものになる。なぜなら江戸時代末期のカナリアはとても珍しく、また高価である。その貴重な鳥の餌は「この植物です」と言われれば買わないわけにはいかないが、カナリアを飼うような家は金持ちなので気にはしないだろう。実際にこの植物には脂質が多く含まれており、フィンチ系のカナリアには好まれるという。けれども以前アップした「カモガヤ」のようにそればかりを食べさせるのはよくないと思う。

さて、カナリーは済んだ。次はクサヨシである。クサヨシ(草葦)の「草」は「小さいもの、元の植物に比べて役に立たないもの」という意味になる。畳に使用する藺草に似ているが小さすぎて役に立たない植物は「クサイ(草藺)」だ。つまり草葦とは「アシ(葦)の小さなもので役に立たない」という意味になる。何の役に立たないかというと「茅葺き屋根」に使用できないのである。

IMG_1005
上の写真は2週間ほど前の5月の中旬に撮影したもの。イネ科なのは分かるがそれ以外は不明である。

5月の中旬に空き地に生えていたのを発見した。5月18日に記事をアップしたキツネアザミと一緒に見つけていたのだが、正体が分からなかったので2週間ほど様子をうかがっていたのだ。5月の終わりに訪ねてみて、ようやくカナリークサヨシだろうと確信が持てた。当初からそうではないかと思っていたが、カナリークサヨシの特徴である縦に2本入った緑のラインが確認できなかったので断定はできなかった。写真だと分かりづらいが肉眼だと2本のラインがちゃんと見える。

写真:zassouneko
無料イラスト素材【イラストAC】
PR