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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

カラスムギで朝食を

カラスムギ(烏麦)/イネ科/カラスムギ属
ヨーロッパ原産で60〜80cm(30〜100cm)花期は6〜7月

●グラノーラが今あるのは、この草のおかげ。

弥生時代などに米などに紛れ込んで一緒に伝わったという説があります。そのような種を「史前帰化植物」といい、今でいう帰化植物(江戸時代末期より以前は旧帰化植物、それ以降は新帰化植物)とは区別します。いずれにしろずいぶん昔から日本にいるようです。在来種といってもいいかもしれません。現在はDNAを調べて成り立ちを解明しようとしていますので新たな分類や生い立ちが解るようになるかもしれません。

今でもカラスムギを頻繁に食べている?
カラスムギを品種改良したものをマカラスムギと言います。マは漢字で書くと「真」で、こちらの方が人の役に立つので価値が高いカラスムギであると認められ、そう名付けられました。エンバク(燕麦)とかオート麦、オーツ麦とも言うそうです。それを押し潰すなりして加工したものを、西欧ではオートミールと言うそうです。お粥のようにして食べるそうですが、嫁さんは「不味い」と言っています。健康に良いとの触れ込みですが、一生涯縁のないものだと思っていました。ところがエンバクを蜂蜜や砂糖などと共に焼いて加工したものが、グラノーラと言うそうです。あー沢山食ってるわ、意外。カラスムギは麦やエンバクが広まったため利用されなくなりましたが、食べられますので飢饉の時には助けとなったそうです。 

別名はチャヒキグサ(茶挽草)といいます。茶を挽くとは石臼で葉を粉にすることですが、何故こんな名前がついたのか不明でした。「俚言集覧(19世紀前期)」には「小児その穂をつみて掌にのすれバ旋る(めぐる)こと茶臼のごとし」とあります。また「跡見群芳譜」に「その実を採り、油をつけて瓜の上に乗せ、吹くと茶を挽くように回るので、子どもが遊んだことによる。」とあります。回転する?瓜(ウリ)に乗せて吹く? 何を言っているのだろうか?

カラスムギの種子は水分を含むと芒(ヒゲのようにのびている部分、イネ科の特徴の一つです)がゆっくりと回転する動きをするのです。以前に「YouTube」で見たことがあります(カラスムギで検索)。その動きを石臼の回転に見立てているのでは考えられます。また芒を固定すると種子の方が回ります。これが地面の上で起これば種子を土にねじ込むような動きとなります。つまり自分で土の中へ潜っていくわけです。素晴らしい進化の形です。それにしても蕎麦でもなく麦でもなく、茶を挽くことに限定しているところが面白いですね。抹茶が文化的で上品なイメージがあるから、ということでしょうかね。

戦後の昭和天皇の朝食はパンやオートミールを召し上がっていたそうです。朝食にお粥ならやはり日本だなと納得、トーストだとモダンだなと思うのですが、まさかオートミールとは。意外です。ちなみにフグ(河豚)は生涯一度もお食べにならなかったそうです。その理由は侍従が頑として許さなかったからだそうです。お気の毒です。


写真を追加しました。(2015.12.12)
イラスト:zassouneko
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