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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

ドクダミの裏表

ドクダミ(蕺草)/ドクダミ科/ドクダミ属
在来種。多年草。花期は6〜7月

近隣を見渡してみると、これほどまでに街中で繁栄している植物は他にはないように感じる。外来種が幅を効かせる世の中でずいぶんと健闘している。まあ迷惑に思っている人にとっては、大人しくしていてほしいのだろうが。刈り取っても次の年にはまた生えてくる、アスファルトを突き破る。なかなかの強者です。特に臭いが強烈だ。嗅いだ事が無い方は一度試してみることをおすすめします。手に付いた臭いは水で手洗いすれば簡単に取れるはずです、多分。落ちたような気がするなあ。

在来種なので歴史から見てみよう。中国では蕺菜(jicai)で、「シュウサイ」と呼ぶ。ドクダミを薬草として「十薬」「重薬」と呼ぶのは「シュウサイ(jicai)」の発音からきているとか、十の効能があるからだとも言われている。深江輔仁「本草和名(918年) 」には蕺は「和名では之布岐(シブキ)という」とあるそうだ。中国では魚鱗草や魚腥草とも呼び、「腥」は生臭いという意味があり、魚のような生臭い匂いのする草と表現してします。東南アジアでも「魚の野菜」とか英語ではFish mintと呼ぶ場合もあるそうです。イメージは世界共通です。話のついでですが東南アジアの料理にある「パクチー」はセリ科なのでドクダミとは関係ありません。そもそも「パクチー」が苦手な方には何の得にもならない情報ですが。

日本語の「ドクダミ」は「毒矯め(どくため)」からきているという。いつの間にか和名の「シブキ」はどっかに行っちゃいましたが、そこは気にしないように。「矯」は悪いものを良くするの意味があり(例:矯正する、ことわざ:角を矯めて牛を殺す)、薬草のネーミングとしては最適です。古くから民間薬として利用され、花が咲いている時の地上部を乾燥させたものは、できものや水虫、便秘や利尿に効くということです。国が定めている日本薬局方にも登録されており、効果はあるようです。ドクダミの愛好家は「熱を加えると臭わなくなる」と主張されてますが、どうなんでしょうか。天麩羅などにする方もいらっしゃるそうです。ドクダミ茶が有名ですね。ドクダミを漢方薬として調べたい場合には、「十薬」で検索するのが確実だと思います。

花のように見える白い部分は花ではなく(苞/ほう、と言います)、その上の小さく黄色い点に見える部分が花です。もう白いところが花でもいいんじゃないかと思ったりします。ドクダミは多年草なので地上部を刈り取っても根が残っていれば、また生えてきます。根絶するには根を掘り起こさなければなりません。頑張ってください。
※漢方は根強い人気があります。効果のはっきりしている現在の医薬品は副作用も強いと敬遠される場合があるからです。漢方の穏やかな効き目が好まれる理由です。だからと言って油断は禁物です。庭に生えているものを素人判断で服用しては危険です。有毒植物を山菜と間違えて食べてしまう事故は毎年発生します。


イラスト&写真:zassouneko
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