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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

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シャガ/兄弟が多いのが自慢です

シャガ(射干)/アヤメ科/アヤメ属
在来種 多年草 花期は4〜5月 学名は「Iris japonica」

えー、名前をいきなり間違って付けたようである。まず「射干」は「しゃかん」としか読めないのだから、「しゃが」と読むのは誤りである。これは「しゃかん」が訛って「しゃが」になったといわれているが、間違いはもっと根本的な所にある。実は「射干」とは漢語(中国語)で、しかも他の花の名前なのである。中国(その頃は漢とか隋なので厳密には『中国』は誤りだが、いちいち時代を区切るのも面倒なので、ザックリと「中国」と表現している。要はユーラシア大陸の東の辺りである)でいう「射干」は濃いオレンジ色の花を持つ「アヤメ科」の花のことであるが、それを日本では「ヒオウギ」と呼んだ。鮮やかな花の色と形から「ヒオウギ」は漢字で「緋扇」と書くのだろうと普通は考えるが、実際は「桧扇」である。これは薄い「桧(ヒノキ」の板を何枚か重ねた「扇子」のことをいう。なぜそう呼ばれるのかというと、この植物の葉の形が、「扇」を広げた形に似ているからである。実際の扇は開くと半円に近い形になるが、「ヒオウギ」の花を扇に見立ててしまうと、360度に開いた形、つまり円になる扇ということになってしまう。それは伝統的な扇の形ではない。現在はそういった商品があったりするけどね。
「シャガ」の葉。

名前を取り違えてしまった理由は不明であるが、アヤメの仲間はどれも葉の形が似ているので、どうやらその辺に原因がありそうである。

「シャガ」は在来種であり、その証拠に学名に「japonica」とあるが、実は古い時代に中国から渡来したと考えられている、いわば史前帰化植物である。紀元前(2000年以上前だ)に渡来して定着しているので、在来種としているのだ。この花はすでに日本の環境に組み込まれていて、昨今の外来種に見られるような横暴な振る舞いをしない。なので、日本の風景の一つとして受け入れられているのだ。また、この植物はきわめて特徴的な性格を持つ。それは遺伝子が3倍体であるということだ。えー大上段から振りかぶってみたが、苦手な分野であるので急いで通り過ぎることにする。えーと、人間を含むほとんどの生物は両親から遺伝子を1つずつ受け取り、2つ1組の2倍体になる。どういうわけかこの花は3つで1組なのである。このような植物は繁殖能力がないので種ができない。「種無しブドウ」の多くも3倍体である。このような種ができない「シャガ」が日本各地で見られるのは、別の方法で増えているからである。「シャガ」は地下茎を長くのばし、そこから新たな芽を出すことができるのだ。ただ、この方法では生息場所は地下茎がのびる範囲に限られる。種のように遠くへ運ばれることがないからである。それなのに日本各地で見られるのは人が植えているからに他ならない。面白いことに、同じ中国から渡って来た「ヒガンバナ」も3倍体で種ができないが、人に運ばれて全国で繁殖している。
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