忍者ブログ

雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

イヌムギとアイスクリーム

イヌムギ(犬麦)/イネ科/スズメノチャヒキ属
多年草または越年草。南アメリカ原産で40〜120cm 花期4〜6月

レスクグラス、プレリーグラスともいう。明治の初期に牧草としての利用を期待されて輸入。「1882年に東京都で確認された」と記載がありますので、その頃には帰化植物として定着したということです。外来種ですが環境省の要注意外来生物のリストには載っていませんので、環境に極端な悪影響を及ぼすという状況にはないということですね。
江戸末期に横浜には外国人居留地があり、そこに住む人の要望を聞いて幕府は牛を輸入していました。海外の人は肉を食べますからね。居留地の人口が増えるにつれ需要はますます高まります。1863年に横浜で民間人による「牛乳の生産を開始した」とありますから、その頃から酪農も盛んになっていったと思われます。それにつれて新たな牧草が必要とされていたことが窺えます。つまり日本の牧草では間に合わなくなってしまったのです。その前年の1862年には横浜に牛鍋屋が開店、そして1869年には日本初のアイスクリームが発売されたそうです。新しい食文化が生産地に近いところから始まったのは至極当然の流れといえます。その後、酪農の中心は北海道に移ります。そして「少年よ大志をいだけ」の言葉で知られるクラーク博士が農業の指導のために北海道に赴任したのは1876年です。

残念なことですが牧草を輸入するという状態は現在でも続いています。飼料としての乾草類が2割以上、穀類の9割近くが輸入に頼っています。これは牛のみならず豚、鶏、羊など家畜の飼料が不足しているということです。日本の自給率はカロリーベースで算出されていて39%です。低いですね。こう書くと「食糧自給率が低くて心配だ」と不安になる方もいると思いますが、ここでは触れません。私の考えがまとまっていないこともありますので一例を挙げるに留めます。スーパーで売っているニワトリの玉子をカロリーベースで算出すると自給率は9%(2003年)です。ニワトリに与える飼料や電気代を計算に入れると、この結果になるそうです。何だか「?」の気持ちになりませんか。

イヌムギの名前の由来は小麦のような利用が出来ず、人が食べられないので「イヌムギ」です。さすがにイヌも食べんだろう、と突っ込むところも雑草を楽しむポイントの1つです。ついでに前述のクラーク博士ですが日本に滞在したのは、ほんの10ヶ月(実質8ヶ月)だそうです。10年ぐらい滞在していたイメージがあるんだけどなあ。意外だ。

人に見向きもされない雑草とはいえイネ科です。英語でRescue Grass(お助け草とでも訳すんでしょうか?=救荒植物=食料不足の時に間に合わせで利用できる植物)と呼ばれるそうなので、いざとなれば食べられるはずです。枯れた頃を見計らってに中を割って見てみました。何か小さな固い実があるのが確認できますが皮が剥けません。利用することが無いようにしたいものです。先程「枯れた頃を見計らって」と書きましたが種子の確認をしたのは5月の末の話です。これからもう一度、芽を出す筈です。さすが牧草に選ばれるだけあって成長が早いです。

横浜の牧場の場所は確認できませんでした。青葉区にある観光牧場は昭和の時代に出来たものでした。おそらく横浜の中心部からさほど遠くない場所にあったのではと思っています。そういえば世田谷区にも 昔は牧場がありましたね。1980年代だったかな。今も記念の石碑が残っているはずです。


追記&訂正:読みにくかったので文章の表現を変えました。(2015.11.12)
(2015.12.26)写真を追加しました。
イラスト:zassouneko
PR