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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

イヌコモチナデシコは新入生/「ミチバタナデシコ」に改名しました

イヌコモチナデシコ/ナデシコ科/イヌコモチナデシコ属
ヨーロッパ原産の越年草。花期は4〜5月。

この名前で正しいのどうかは分かりません。他に「コモチナデシコ」があり、この両者は判別しにくく、あるHPでは電子顕微鏡が必要だとの記載もあります。「イヌコモチナデシコ」としたのは、単純に情報が多かったという理由からで、つまり、こちらの方がポピュラーな存在なのだろうという判断です。

追記&訂正(2015.12.21):今まで「イヌコモチナデシコ」とされていた植物は実は「ミチバタナデシコ」であったという記載を見つけました。九州の博物館の発表です(2015.10月)。以前より「違うのではないか」という指摘が出ていたようで、その問題の結論が出たというわけです。まあ、そうであったとしても上の植物が何であるかは断言できないところが残念なところです。春になったら、ちゃんと観察しようと考えています。

この花をスケッチをしようと思い、蕾を一輪持ち帰った時のことだ。机の上のコップにいけておいたのだが、次の日に見てみるといきなり花が咲いていた。その情景を音で例えるのなら「ペロン」という感じだ。表現が稚拙で申し訳ない。全体にアンバランスだし、萼(がく)も見あたらない。もっと大きな花が咲くものと思っていたので意表を突かれた気がした。 花の直径は1センチ程で小さい。

このイヌコモチナデシコであるが、帰化したのは最近のことらしく1960年の福岡県北九州市での記録が最初である。観賞用とは思えないので何かに(牧草など)紛れてやってきたのだろう。侵入植物データベースでは17の県で確認されているようであるが、分布がバラバラである。九州、四国は1県のみで確認。西日本では大阪、山口を除いた各県で確認。後は三重県から千葉に至る太平洋沿いの各県と、ずっと北にとんで宮城、秋田、山形となっている。北陸と関東近辺(東京、千葉除く)、北海道が抜けている。面白い分布だ。名前の「イヌ」は「役立たず」の意味であるが「コモチ」とはなんぞや。

サボテンに「子持ちサボテン」と呼ばれる種が幾つかあり、特徴として葉や体に自分の子供がたくさんくっ付いているような状態になる。それを採って植えれば、ちゃんと成長する。受粉して種子を作らなくとも繁殖が可能なのである。いわば大掛かりな細胞分裂のようなものだ。似たようなものに「むかご」がある。一般に「むかご」はヤマノイモの蔓に生えてくるものを指す場合が多いが、Wikipediaには他にも10種ほどの植物が挙げられている。「むかご」も植えれば芽がでてくる。これは栄養繁殖器官の一つであるという。種子とは別に葉や茎の一部が変化するらしい。

ところが「イヌコモチナデシコ」はムカゴを作らない。この花の下にある子房は一つに見えるがしばらくすると5から8つほどに分かれてくる。同じような大きさの子房がいくつもある状態になる。しかも分かれた子房に花が咲くのはあまりないようだ。つまり花を咲かせた子房は当然のごとく種子ができるが、残りの子房は花が咲いていないので受粉ができていない。それなのに種が出来るのは、新しく「子」を作ったのだと思える。それで「子持ち」と表現したようである。「むかご」は花のある部分ではなく、葉の付け根や茎にできる。
「イヌコモチナデシコ」は環境省の要注意外来生物リストには載っていないが、繁殖力は強そうである。あちこちで見かけるようになった。近々リストに掲載されるかもしれない。

追記&訂正(2015.12.22):名前が変わるのは別にかまわないが、「ミチバタ」と検索欄に打ち込むと「カレン」とか「ジェシカ」とか「アンジェリカ」などの変換候補が出てくるのが煩わしい。

写真&イラスト:zassouneko
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