忍者ブログ

雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

シマスズメノヒエの冒険

シマスズメノヒエ(島雀稗)/イネ科/スズメノヒエ属
南米原産の帰化植物で多年草。50〜150cm 花期6〜11月 別名はダリスグラス。

大正時代(1915年)に小笠原で発見されたのでこの名前が付いたとのことです。原産地の南米のアルゼンチンにはパンパと呼ばれる大平原があり、そこで牧草として利用されているそうです。戦後に日本に広まったのは道路などの法面(のりめん)の緑化が目的であちこちに蒔かれたようです。
名前の由来はスズメが食べるヒエ(人の利用に向かない)にシマ(小笠原で発見)をくっ付けたものです。ヒエは最近では健康食品でしか目にしませんが、1世紀ほど前までは盛んに利用されていたそうです。年号が昭和になってようやく米の安定供給ができるようになり、それを境に栽培されなくなったようです。江戸時代には白米をたくさん食べていたような印象がありますが、何度も大飢饉に襲われています。そんな非常時にヒエに助けられた人も多かったのではないでしょうか。
シマスズメノヒエは他の種と比べて2倍ほどの高さに成長しますので、容易に区別ができそうです。日本には在来種のスズメノヒエと10種ほど帰化種が確認されています。環境省の要注意外来生物リストにはキシュウスズメノヒエだけが掲載されています。キシュウスズメノヒエは湿った土地を好み、そのため水田に多く発生する迷惑な雑草の一つです。要注意外来生物リストに登録されているスズメノヒエ属はこの1種だけなので、他はおとなしい性質なのでしょうね。

このシマスズメノヒエは街中のアスファルトに覆われた駐車場の片隅で見つけました。半世紀以上前に小笠原から運ばれてきたものが何でこんな所に生えているのか、と考えさせられるのも雑草の持つ魅力の一つです。
写真を追加しました。(2015.12.12)
イラスト:zassouneko
PR