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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

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チガヤ/世界最強の雑草/2020.5.5

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チガヤ(茅萱)/イネ科/チガヤ属
在来種 アジアの温帯・熱帯に分布 多年草 30〜60cm 花期5〜6月 別名/チ、カヤ、チバナ他多数 漢名/白茅

すべての生物を対象とした「世界の侵略的外来種ワースト100」の植物部門にチガヤはノミネートされている。そして「世界最強の雑草」という称号まで与えられているようだ。日本の現状を見るとそんな植物とは思えないのだが、他国に行くと猛威をふるう外来種に変貌するらしい。

チガヤの「チ」は「千(せん)」からきており、群れて咲くためその名がついたと言われている。それなら「万」でもいいじゃないかと、つっこみたくなる部分である。また穂や葉先が赤っぽくなるので「血萱」という説もある。まあ由来はともかく、千年以上昔から「チ」という発音で呼ばれていた植物であるのは間違いない。千年前の書物にはチガヤに対して「知」「智」という字が使われているという。この「茅萱」の「茅」は草冠と矛でできているが、矛は「矛盾」でおなじみの矛(ほこ)で、槍のようなものである。葉の形がそう見えるので、この字があてられたそうが、穂の形の方が似ているんじゃないかと思う。

6月に「蘇民将来」の伝承に由来する厄除け行事の「茅の輪くぐり」が行われるが、今では子供の無病息災を祈願することも多いだろう。子供は突然発熱したり具合が悪くなったりするしなあ。大人は自分でなんとかすればいいし。また「チマキ食べ食べ兄さんが〜」のチマキは本来はチガヤの葉を巻いたもの(茅巻)である。

東区平田町の交差点の四隅にある緑地帯は、東西南北のそれぞれの場所で特定の雑草たちがテリトリーを形成している。

北西の角(ピザ屋の前)は地を這うような低木が植えられており、雑草はあまり生えていないが春にはツクシが顔を出す。北東(銀行の前)はイヌムギが独占していたが、2018年の猛暑以降は勢いが弱くなったようだ。南東の角はホソムギが多く生えていたが、これも猛暑のせいか見かけなくなった。そして南西の角がチガヤの領地である。そこから南に続く緑地帯はアオカモジグサのテリトリーだが、今年はほとんど生えておらず南西の角(ホソムギの領地だった)で細々と暮している。去年(猛暑の翌年)は普通に見かけたのだが。

さて、5月の声が聞こえるようになると猛然とチガヤが姿を表す(冒頭の写真)。

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上は数年前の写真だが、道路をはさんだ右上にもチガヤが生えている場所がある。そこが中央分離帯である。その分離帯のほんのわずかな隙間からもみっしりと生えている(下の写真)。
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道路の管理上の問題だと思うが、その場所のチガヤを刈り取って再び生えてこないようにと厚いシートで覆った。去年の暮れか、今年の初め頃だったと思う。それを見た時にすぐに「無駄なことを」と思った。相手はチガヤである。そして、その予想は当たった。
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接着剤で貼り付けたと思われる厚いシートをものともせず、しっかりと葉をのばしている。いずれ穂を出すだろう。シートは数十メートルに渡って施工してあるが、他の場所も同じような事態になると予想される。「世界最強の雑草」の呼び名は伊達じゃないのである。

面白いのはこの「世界最強」のチガヤでさえ、日本国内ではバランスをとって繁殖しているということだ。冒頭に交差点の四隅の雑草のテリトリーについて述べたが、チガヤが他の場所で繁殖を始める気配は今のところ感じられない。たまに離れた場所に数本咲いているのを見かけるが、そこから群生が始まるということにはなっていない。これが固有の生態系というものかな。

写真:zassouneko
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