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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

ホナガイヌビユと七草

ホナガイヌビユ(穂長犬莧)/ヒユ科ヒユ属
南アメリカ原産 高さは30〜40cmぐらい 花期6〜11月
「ヒユ」の字は「莧」と「覓」がありますが、ここでは「莧」に統一しました。どちらの字にしたって、ほとんど日常では見かけません。日本にやって来た時期ははっきりしませんが明治から昭和のはじめにかけてでしょう。非意図的移入だと思われます。「ホナガイヌビユ」の名前の由来は「イヌビユ」より穂がうんと長いからです。元になった「ヒユ」の歴史は古くて「和名類聚抄(934年)」に「和名比由」と記載があります。この「比由」が現在の「ヒユ」であろうということです。

「アオゲイトウ」のところにも書きましたが「ヒユ」は食用です。今で言う野菜で、栽培もされていたようです。残念ながら「イヌビユ」は「ヒユ」に及ばす「あんなものを食うのは犬ぐらいだ」の意味ですので「ホナガイヌビユ」に過大な期待はできません。犬も食べないと思いますが。一応は「ヒユ」の仲間ですので食べられますが、おいしくはないようです。

「ホナガイヌビユ」は小型で、高さは大人の膝ぐらいです。葉の形は幅広で丸みのあるハートの形です。名前にもあるとおり一番の特徴は穂です。「アオゲイトウ」は中心の穂が特に大きく、長い円錐形になりますが、この草は中心とその近くから出る穂が共に長く延びます。岡山大学の帰化植物リストにはホナガイヌビユは別名アオビユと記載があり、アオゲイトウの項にも別名アオビユと書いてあります。何だか混乱します。

第二次大戦後の深刻な食料不足におそわれていた頃に、日本学術振興会が食べられる植物として「夏の七草」を選定し、パンフレットを出版したそうです。野原にある雑草を食べるように推奨したわけです。「ヒユ」はその中に紹介されています。今「ヒユ」を探そうとしても難しいでしょうが、その時代でも多く自生していたか、地方などで細々と栽培されていたのではないかと想像します。

お詫びと訂正:今まで間違えて「ヒナタイノコズチ」の写真を貼っていました。すいませんでした。(2015年10月13日)
追伸:この写真は2014年の秋に、とある公園にて撮影したものです。今年(2015年)になって行ってみましたが、1本も見つけられませんでした。去年は50本以上生えていたんだけどなあ。
写真を追加しました。(2015.12.12)

イラスト:zassouneko
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