カラミント/シソ科(Lamiaceae/Labiatae)/カラミント(トウバナ)属
多年草 在来種(帰化種 イギリス・地中海沿岸原産) 花期は7〜9月 学名はCalamintha nepeta 英名はlesser calamint
「カラミント」の「カラ」は「唐」でも「辛」でもなく、英語名の「calamint」をそのまま読んだものである。私だけかも知れないが「カラ」の部分をなぜだか漢字に変換したくなる。「ミント」は外来語だと認識できるが「カラ」がどうしても日本語のように感じてしまうのである。不思議に思う。それはさておき、上に「在来種」と書いてあるのは植物専門のサイトにそう書いてあったからだが、それならば和名がついていてもおかしくはない。在来種かどうかは疑問があるが帰化種なのは間違いないだろう。
去年の今頃、警察署の近くで冒頭の花を見つけた。今年も咲いていた。また同じ時期、数百メートル離れたマンションの植え込みでも似たような植物を見つけていたのでそちらにも行ってみた。こっちも咲いていた。しかも数が少し増えている。この2つは同じものだと思うのだが、葉の形が違うのが気になる。また、勝手に生えている(帰化している)のか、人が植えたのかも判然としない。勝手に生えたような気がするけどなあ。わざわざ「カラミント」を選んで植えるかな。
去年とは少し離れた場所でも見つけた。冒頭の写真と違うのは、葉の縁のギザギザがあるかないかである。
冒頭のものはギザギザが見られない。日当たりが悪いせいか、葉の様子がおかしい。
両者とも葉の匂いは同じで、ミント臭が強い。雑草化したミントの中には匂いが薄くなっているものもあるが、これはしっかりと匂う。ミント臭の中にうっすらと「シソ(紫蘇)」の香りもある。
他の場所でも見つけた。全体の雰囲気からして勝手に生えてきたもののように思う。
さて、この2つは同じカラミントなのかどうかだが、おそらく両者とも大きな括りの「Calamintha(カラミンサ)」に入るだろう。「Calamintha」にも種類があり、白い花が咲くのが「Calamintha nepeta」、つまり「カラミンサ・ネペタ」の仲間なのだ。ピンク色の花をつける「カラミンサ・グランディフローラ」というのもある。冒頭にあげた葉にギザギザがない「カラミンサ・ネペタ」だけが「lesser calamint(英語名)=レッサー(小さな、少し劣っている)・カラミント」なのだ。この記事の最初の方に「和名がない」と書いたが、「カラミント」こそが和名だったのである。じゃあ葉にギザギザがあるのは何と呼ぶかというと、大まかだと「カラミンサ(他の種類のものも含めて)」、正確に呼ぶと「カラミンサ・ネペタ」になるだろう。園芸店で売っている白い花のカラミンサの名称も「ネペタ」なのだ。それが帰化しても「ネペタ」、もしくは「カラミンサ・ネペタ」である。「カラミンサ」は地中海沿岸のヨーロッパ原産だが、「カラミント(レッサー・カラミント)」は中央アジア原産だという記事も見かけた。
もう7月も中旬だ。この植物たちの花もそろそろ終わる。そして本格的に暑い夏がやってくる。さてさて、ようやく1年越しの疑問が解決したように思う。これが正解だといいけど。あとは在来種の問題だけだな。
写真:zassouneko