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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

アオカモジグサと郷土料理

アオカモジグサ(青髢草)/イネ科/エゾムギ属
在来種。50〜70cm(40〜100cm) 花期5〜7月

アオカモジグサも外来種かと思っていたら、れっきとした在来種であった。他のイネ科の植物と同じように縄文の頃に稲と一緒に渡来したのだろうか。全体的に細い感じがする。茎の高さは1メートルほどで、5月になる頃には頭が少し垂れた状態になる。稲などは実がずっしりとつまった重みで頭が下がってくるのであるが、これは実も小さく軽い。茎が細いからだろうか。外来種のイネ科に比べて全体的に弱々しい感じがします。殻(実が入っているところ)の部分も小さく、その割にヒゲ(芒=のぎ)は本体の2倍ぐらいの長さになります。

髢(かもじ)というのは日本髪を結ったりする際に毛足の足りない部分を補うもので、入れ髪ともいい、部分カツラに近いニュアンスです。「かもじ」は「か(髪)」+文字(もじ)のことで女房言葉と呼ばれるもので室町時代に宮中に仕える女房たちが使い始めた言葉です。女房は今で言えば、女性のエリート国家公務員と言えるでしょう。女房言葉は特定の団体内で使用される隠語のようなものです。他には、しゃもじ(杓子の「しゃくし」+文字)や、おでん(「お」+田楽の「でん」)、お腹、オナラ、おむすび、おにぎり、オマルなど現代でもたくさん残っています。また熊本県には「一文字ぐるぐる」という、小ネギを使った郷土料理があります。これは昔はネギ(葱)を「キ」と一文字で発音するので一文字、よってネギを「ひともじぐさ」と呼んでいたからです。「ひともじぐさ」をぐるぐると巻いた料理で「一文字ぐるぐる」ですね。ちなみに「ふたもじ」は韮(ニラ)のことを指します。これも女房言葉です。

カモジグサの名前の由来は「女の子がこの草の葉を集めて揉み 女の雛人形を作ったことから(牧野富太郎)」「子供がこの株を取り かもじを作って遊んだことから(『日本の野生植物』佐竹義輔 )」「この草を人形のカツラに使用したから」と色々な説があります。
イネ科の中で何故この草だけが「カモジ」と呼んで、髪の毛のように扱われるのには訳があります。この草は成長すると全体が暗紫色を帯びてきますし、ヒゲ(芒)の部分も髪の毛のように長いのです。この2つの特徴から髪の毛に見立てたようです。残念ながら、この絵の草はアオカモジグサですので黒っぽくなりません。イネ科で黒っぽくなっているのがいれば多分カモジグサでしょう。

追記:2015年8月25日、手持ちの写真を整理して写真を追加しました。長い芒(のぎ)があるのが分かると思います。
イラスト:zassouneko
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