アレチケツメイ(荒地決明)/マメ科/カワラケツメイ属
北アメリカ、西インド諸島原産の帰化種 新しい帰化植物なので情報が少ない。「カワラケツメイ」を参考にすると、多年草で花期は8〜9月 草丈は30〜60センチといったところかな。
最近(2006年に研究誌に発表されたそうだ)になって、名前がついた出来立てほやほやの帰化種である。在来種の「カワラケツメイ(河原決明)によく似ていたので誰にも気付かれず、そのせいで発見が遅れたのではないかという話もある。河原に生える「カワラケツメイ」に対し、こちらは荒地に生えるので「アレチケツメイ」と名付けられたという。河原も荒地もそう変わらんような気がするが。
かなり前から、この雑草は何度も見かけていた。葉の形が「オジギソウ」にそっくりなのだ。だから見かけるたびに葉を触っていたのだが、お辞儀はしないのである。そりゃそうだ、「オジギソウ」ではないのだから。気にはしていたが、花を見かけたことがなかったので、あえて調べようとは思わなかった。

こちらは「オジギソウ」。葉に触れるとお辞儀をする。
これらの植物たちは全て「マメ科」だそうだが、私が持っている「マメ科」のイメージとはずいぶんと違う。「マメ科」の植物は茎の先端にツルがあると思っていたのだ。
この雑草は葉の付け根に「蜜腺」があり、そこから蜜が出る。なので、触っていると手が蜜でベトベトする。何でそんな所から蜜を出すのかと言うと、アリを誘っているのである。アリを引き寄せて、葉を食べる虫を捕食してもらうのである。同じ「マメ科」の「ヤハズエンドウ(カラスノエンドウ)」も「蜜腺」がある。

白い円の中に黒っぽく写っているのが「蜜腺」。小さくて見えないが、拡大すると「キノコ」の形をしている。「カワラケツメイ」の方はお饅頭のような形である。
「ツマグロキチョウ」という蝶々がおり、地域によっては絶滅危惧種となっている。この蝶々は「カワラケツメイ」を食草としているが、帰化種の「アレチケツメイ」も食べるという。昆虫は頑固者が多く、「この草しか食わん!」と決めたら、本当にそれしか食べない。だから、その草が絶滅してしまったら、一緒に絶滅するのである。だが、「ツマグロキチョウ」は食草の選択肢が増えたので、絶滅の危機からは遠ざかったといえる。逆に言えば、それほどこの両者は似ているということだ。外来種も日本の自然の役に立つことがあるんだな。
1枚だけ、ひときわ大きな花弁がある。花を顔に例えれば下顎の部分になる。これが「アレチケツメイ」の特徴の一つである。
「アレチケツメイ」と「カワラケツメイ」の違いは「蜜腺の形」と「花弁の形」で区別ができる。それを写真付きで紹介しているサイトがあるので、そちらを参考にしていただきたい。
この記事を書いている時から「決明」という名前が気になって気になって。その詳細をここに書こうと思ったが、長くなってしまったので別記事に書きます。
写真:zassouneko