キシュウスズメノヒエ(紀州雀の稗)/イネ科/スズメノヒエ属
帰化種 多年草 花期は7〜9月 草丈は20〜40㎝ 別名は「カリマタスズメノヒエ」 中国名は「双穗雀稗」
1924年に和歌山で最初に発見されたので「キシュウ(紀州)スズメノヒエ」となった。素直な名前である。別名に「カリマタスズメノヒエ」とあるが、この「カリマタ」を漢字で書くと「雁股」となる。これは「矢」の先端部についている「鏃(やじり)」の一種で、私たちがイメージする「鏃」とは形が違い、先端が二つに分かれている。Uの字の間をもう少し広げたような形で、空を飛ぶ鳥や獣の足を狙う時に使われたという。穂のつき方を見ればV字と言った方がスッキリするが、当時はそういう形をした道具が見当たらなかったのだろう。
上の写真:「キシュウスズメノヒエ」。穂が1本のように見えるが密着しているのである。下の「シマスズメノヒエ」と比べても穂も全体も、かなり小さいことが分かる。小さいのは成長途中なのではないかと思われるかもしれない。だが、上や下の写真の穂に黒っぽいものがついているのがお分りいただけるだろうか。これは雌しべや雄しべが中から出てきているのである。要は受粉が可能な状態であるわけで、つまりは成体なのである。
上の写真:「シマスズメノヒエ」
「カリマタ」の名前通り、この「キシュウスズメノヒエ」の穂は2本である。中国名の「双穗雀稗」も同じ意味であろう。
「キシュウスズメノヒエ」の周りにある、葉の縁が白い植物は「ヤブラン」だ。どうやら名古屋は「ヤブラン推し」のようで、緑地帯には必ず植わっている。特にこの通り(桜通り)の道の両側は「ヤブラン」がびっしりと生えている。歩いていると、かえって味気ない風景に見える。
この日は昼過ぎから久屋大通公園に雑草を探しに出かけた。1年振りである。だが、何の収穫もなく、仕方がないので帰りがけに買物を済ませようとスーパーに向かった。信号待ちをしていた時、ふと横を見ると緑地帯に「スズメノヒエ」らしき草が群生している。「シマスズメノヒエ」はよく見かけるのだが、それとは明らかに違う。おお、これは。
こんな日もあるのである。だが、冷静になって考えると雑草との出会いは、いつも「突然」で「偶然」なのである。記事のタイトルを変えようかな。これでもいいような気がするし、うーん、どうしようかな。
写真:zassouneko