ツユクサ(露草)/ツユクサ科/ツユクサ属
在来種 1年草 花期は6〜10月
私たちの身の回りには様々な色がある。人を魅了させ購買に向かわせるように、すべての物には考え抜かれた色がつけられている。カラフル(colorful)の文字通り、現代は色に溢れている。
だが、我々(庶民)が安価で自由に色を使えるようになったのは近年のことだ。自由に使えるようになったのは色素(染料)が人工的に製造できるようになったからである。それまでは植物、鉱物、生物から染料を採っていた。紅花とか藍、岩絵具がそれであるが、使えるようになるまでに手間もかかるし高価でもあった。
面白いことに紫色の抽出は世界中でも難しかったようで、とても高価であるとともに高貴な色とされていた。聖徳太子が定めた「冠位十二階」の最高位の冠の色は紫色、カエサル(シーザー)のマントも紫色、英国の王室では「ロイヤルブルー」と共に「ロイヤルパープル」が用いられている。また、お坊さんの衣も位によって色が違うが最高位は紫色である。
「露草色」という色がある。数多くある日本の伝統色の一つだ。新選組の羽織の色の「浅葱色(あさぎいろ)」もそうである。さて、これらの色も今では数値で表すことができる。RGBの数値やCMYKの各インクの割合で画面上や印刷で再現できるのである。
そこで「露草色」のCMYKの値を調べてみたのだが、なんだかおかしなことになっている。以下はその報告である。
①「C:60、M:23、Y:00、K:00」
②「C:71、M:26、Y:7、K:00」
③「C:76、M:26、Y:00、K:14」
④「C:77.5、M:21.4、Y:00、K:10.6」(上質紙印刷の場合)
検索の上位にあった4つのサイトを見てみたのだが、微妙に数値が違う。誰が数値を決めているのだろうか。「誤差の範囲内」ということかな。とにかく不思議な話である。「どれでもいいんじゃないの。似ているし」と思うのだが、そうじゃない立場の人もいるだろうし。他の伝統色はどうなんだろうか。調べる気はないが。
人は色を欲している。他の色鮮やかな生物たちに比べて、自分の肉体が持つ単純で地味な色(濁った黄色の肌と黒い毛)に飽きてしまったのだろう。
写真&イラスト:zassouneko