アサガオ(朝顔)/ヒルガオ科/サツマイモ属
奈良もしくは平安時代に渡来 1年草
「アサガオ」を知らない人はいないだろう。「アサガオ」は「ヒマワリ」と共に日本の夏を象徴する花の一つと言ってもいいだろう。だが、この両者とも「外来種」なのである。「アサガオ」は奈良か平安の時代に渡来したようだが正確な記録はない。一方「ヒマワリ」は江戸時代の1664年に渡来という記録がある。だから徳川家康は「ヒマワリ」を見ていない。「それがどうした」と言われれば返す言葉もないが、「向日葵」の「葵」つながりで言ってみたかったのだ。それはさておき、これらは外来種であるが渡来して数百年経っているので日本の花と言っていいだろう。文化とはそういうものである。
山上憶良が万葉集で詠んだ秋の七草の中に「朝貌(あさかほ)の花」とあるが、これは「アサガオ(morning glory)」のことではなく、「桔梗(キキョウ)」の花とするのが現在では定説になっている。朝に花が咲く比較的目立つ花を「朝顔」と当時は呼んでいたようだ。朝に咲くという性質をもった花の総称といえる。タンポポのように茎を折ると白い粘液が出る植物を「乳草(ちちくさ)」と呼ぶのと同じことだ。そもそもが「秋の七草」なので夏の花の「アサガオ」が入るのは変である。
江戸時代の加賀千代女の俳句「朝顔に鶴瓶(つるべ)取られてもらい水」に代表されるように、日本人の草花に向ける視線は優しい。まあ、その優しさがアダとなって外来種が氾濫しているという現状があるのだが。
「アサガオ」が「桔梗」に替わって「朝顔」と呼ばれる地位を獲得したのは、花が丸いところが容易に人の顔をイメージさせるのと、昼前にはしぼんでしまうという性質が、まさに「朝(だけの)顔」と呼ぶにふさわしいからだと言われている。だが、私が近在で見かける「朝顔」は真逆の性質を持っているのである。
上の写真:「ノアサガオ」だと思われる。撮影したのは11月28日である。12月頃まで開花しているようでは、夏の花とは言えないだろう。
高く伸びる。もはや「釣瓶」を取られる程度の規模ではない。爽やかで華奢なイメージはどこにもない。ここで一句。「朝顔に母屋取られてホームレス」。駄句である。
写真:zassouneko