上の写真(2017年6月3日撮影):ヤブジラミ(薮虱)/セリ科/ヤブジラミ属
在来種 2年草 花期は5〜7月 草丈は30〜70㎝/膝から腰の高さ
上の写真(2016年5月上旬に撮影):オヤブジラミ(雄薮虱)/セリ科/ヤブジラミ属
在来種 2年草 花期は4〜5月 草丈は30〜70㎝/膝から腰の高さ
注:「やぶ」には「藪」という漢字もありますが、ここでは「薮」で統一しました。
上の写真だと同じ植物にしか見えないが、それは古いデジカメのせいである。申し訳ない。実物を目の前にすれば意外と簡単に見分けがつくのである。
「ヤブジラミ」を最初に見つけた(認識した、というべきかな)のは去年(2016年)の6月のことだ。名前がなかなか判明せず、それが分かったのは数ヶ月後のことである。発見した場所が普段は足を向けない地区でもあるので、写真は撮ったが実物は1回しか見ていない。なので私の「ヤブジラミ」に関するイメージは結構あやふやである。この「オヤブジラミ」は5月の初めに名古屋城近くのコンビニの駐車場で咲いていたのだが、当初は「ヤブジラミ」だと思い込んでいた。「オヤブジラミ」の存在は知識としてはあったのだが、実物を見たことがなかったので「ヤブジラミ」だと勘違いしてしまったのだ。6月になってから徳川町の辺りで「ヤブジラミ」を見つけたのだが、コンビニで見たものとは少し違う気がしたので後日確認のためにコンビニまで行ってみた。すでに枯れてしまっていたが、種は撮影することができた。実はこの種が重要なのである。
名前の由来はこの植物の種が「シラミ(虱)」に似ているからである(下の写真)。しかも、この種はいわゆる「ひっつき虫」なので、知らぬ間に衣服などにくっ付くのだ。「薮に入るとくっ付いてくるシラミ(に似た種)」だから「ヤブジラミ」である。「オヤブジラミ」に「オ(雄)」が付くのは「ヤブジラミ」に比べて「子房」の部分が大きく茎も色付くので、それを「大きい、色黒=男性=雄」と表現したようである。そうなると「ヤブジラミ」は「雌薮虱(メヤブジラミ)」になるはずであるが、なぜか「ヤブジラミ」のままである。
上の写真:「オヤブジラミ」の種の部分。なんとなく虫っぽい。
両者の違いは花の後ろの種ができる部分(「子房」だと思うが)で区別することができる。ここで掲載している写真だと少し見づらいとは思うが「オヤブジラミ」はその部分が大きく膨らんでいるのである。対して「ヤブジラミ」のそれは小さい(下の写真)。その他の違いは「オヤブジラミ」の茎は「赤茶色」や「赤紫色」に色づくが、「ヤブジラミ」の茎は緑のままだ。また、花の数は「ヤブジラミ」の方が多くつく。
上の写真が「ヤブジラミ」、下は「オヤブジラミ」。花が咲いている状態で両者を比較したいのだが、肝心の写真を撮っていないというヘマをしでかした。申し訳ない。
上の写真は「オヤブジラミ」。花全体が「樽」のような形に見える。
開花時期も両者を区別するのに有効な判断材料だ。冒頭にも書いたが「オヤブジラミ」の方が1ヶ月ほど早く咲く。自然のものだから多少のズレはあるのだが、ほとんどの「オヤブジラミ」は6月ともなれば枯れているだろう。つまり5月の下旬以降に花が咲いていれば、それは「ヤブジラミ」の可能性が高い。今まで雑草の開花時期など、ほとんど気にしたことはなかったが植物は律儀にそれに従っている。桜と同じである。
写真:zassouneko