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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

ニワゼキショウ/ちょっと混乱する名前である

ニワゼキショウ(庭石菖)/アヤメ科/ニワゼキショウ属
北アメリカ原産の帰化種 花期は5〜6月 草丈は10〜20㎝ 学名はSisyrinchium rosulatum(この後ろに人の名前らしきものがつく場合もあるが省略しました)

5月になると、あちこちで「ニワゼキショウ」が見られるようになる。気づかれた方もおられると思うが、この花は1種類だけではない。日本には少なくとも10種以上の「ニワゼキショウ」の仲間がいるという。そうなると「ニワゼキショウ」と呼べるのは1種だけで、あとは「〇〇ニワゼキショウ」ということになるが私には区別がつかないのである。

「ニワゼキショウ」の名前の由来は「庭に生える石菖(セキショウ)」からである。この「石菖」とは渓流や小川などで育ち、根は必ず水の中にある。石などの側に生えるので「石菖蒲(イシ=セキショウブ)」、略して「石菖(セキショウ)」である。「菖蒲」は端午の節句の「菖蒲湯」でお馴染みだろう。この植物は芳香があり、それが魔除けになると考えられていた。また、「菖蒲=ショウブ=勝負」の語呂合わせや、「剣」のような葉の形も「魔を祓う」のにふさわしい要素となる。これらは乳児や幼児の死亡率が高い江戸時代の子供を思う親心である。そういえば風呂なしアパートに住んでいた頃、通っていた銭湯で菖蒲湯に入ったことがある。すでに成人していたが、こういうのは何となく楽しいものである。そうそう柚子湯もあったな。これらは今でも銭湯でやっていると思う。今では銭湯自体あまり見かけないが。話がそれた。ここで取り上げている「石菖」は、葉の幅は「菖蒲」に比べれば細身であるが、根茎に「菖蒲」のような芳香を持っているという。

一番肝心な話だが、これら「菖蒲」の仲間は「ショウブ科」に属しているということだ。「ニワゼキショウ」の属する「アヤメ科」とは関係ないし、花の形も全然違う。「菖蒲」の写真が見つからなかったので花の姿を文章で説明するしかないが、ざっと言えば「サトイモ科」の観葉植物の「スパティフィラム」や「カラー」の白い部分(あれは花弁ではないそうだ)を剥ぎ取ったようなイメージである。茎の先に小さなトウモロコシをつけた形といえばいいか、秋田のきりたんぽというか。えー、画像検索してください。


それなのに「アヤメ科」の植物に、葉が似ているからといって「ハナショウブ(花菖蒲)」やら「ノハナショウブ(野花菖蒲)」と名付けるから混乱するのである。いろいろと知っている人なら「ほほう、洒落た名前をつけましたな」で済むだろうが、何も知らない私などは「菖蒲」でいろいろと間違うのである。

上の写真:実の部分の形と模様がユニークだ。日本の「鞠(まり)」のようにも見え、可愛らしい。そういえば子供の頃にこんな形の菓子を食べた記憶がある。直径が3〜4㎝の球体で、おそらく小麦粉が原料だったと思う。それを中空に焼き上げ醬油味がついていた。変わった煎餅のようだが、生地と醬油味と合っていない気がして私は苦手だった。

長々と書いたが「ニワゼキショウ」は「石菖」とは何の関係もない名前なのである。洒落でつけたのか勘違いしたのかは分からないが「ニワゼキショウ」にとっては不幸な話である。植物に誤った名前がつくことはたまにあることだし、その間違いも含めて楽しめればいいのだが、正解を知らないと植物の理解にはつながらないので厄介である。突出した名前を付けてしまうと他の植物との関係性が分かりづらくなるのだ。また、その名前が他の植物に使われたりすると「誤解」を内包したまま拡散するのである。


ここからは余談である。無料画像のサイトで「菖蒲」と検索すると、案の定「アヤメ」の画像ばかりが出る。それではということで「石菖」でやってみると、なぜだか若い女性のヌードやポーズをとっている写真ばかりがヒットする。「石菖」にそんな意味があったのかと思っていたら、実は「石菖→せきしょう→sekishou→sekushi→セクシー」に勝手に変換していた。そんな「忖度」はいらんのである。ともかくも早めに気づいて良かった。「もしかして『石菖』の写真があるのでは」と、膨大な数の「セクシー写真」のジャングルに危うく迷い込むところだった。

写真:zassouneko
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