ナガミヒナゲシ(長身雛罌粟)/ケシ科/ケシ属
地中海原産の帰化種 越年草 花期は4〜5月 草丈は20〜60㎝
さて、このタイトルからどのような内容を想像しましたか。「どうせ植物を擬人化して文句をつけているのだろう」と思われても仕方がありません。ですが、今回はタイトルどうりで「ナガミヒナゲシは触ると冷たい」のです。
上の写真:「ナガミヒナゲシ」はアルカリ性の土壌を好むといいます。コンクリートは強アルカリ性で、そのコンクリートに雨があたるとアルカリ成分が溶け出します。つまり都会の環境は「ナガミヒナゲシ」には好ましいものなのです。
夏の炎天下の植物が茹ってしまわないのは(萎れることはありますが)葉から水分が蒸発し、その気化熱が体温を下げているからです。この作用は植物が意図的に行ったりする場合もありますが、呼吸や光合成を行う際に開いた気孔から水分が出ていってしまうという、致し方のない場合もあります。いずれにしても気化熱の作用で体温は下がります。ゴーヤや朝顔が夏の日差しを和らげる「緑の日除け」として有能なのは、この機能をおかげでもあります。ただのスクリーンでは、それ自体が熱を吸収し輻射してしまいますので植物に比べると効果は劣る気がします。
左の写真が実。種が入っています。右が開花前の蕾。
ほとんどの植物の葉や花は触れば冷たく感じますが、いかんせん厚みがありませんので、すぐに体温が伝わって温度が上がってしまいます。そこで「ナガミヒナゲシ」の登場です。この花の実は円筒形で体積が大きいので意外なほど冷たく感じます。頭にアスタリスクのような模様をつけて直立しているのが「実」で、ラグビーボールのような形でうなだれているのは「蕾」です。こちらもそれなりに冷たいです。ぜひお試しください。
お試しついでに実を切り開いて中に入っている種も見てください。可哀想ではないかって。大丈夫ですよ。迷惑すぎるほど繁殖していますから減らした方がいいのです。さて、その種ですがそれは見てのお楽しみということで。ヒントは「キャビア」と「数に注目」です。外はクールでも内面はやる気満々でホットです。その「やる気」が迷惑なんですけどね。
写真:zassouneko