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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

ムシトリナデシコ/食虫植物じゃありませんよ

ムシトリナデシコ(虫取撫子)/ナデシコ科/マンテマ属
ヨーロッパ原産の帰化種 花期は5〜6月 1〜越年草 草丈は30〜60㎝

1862年(文久2年)に遣欧使節団によって日本に初めて持ち込まれた。さらっと書いたが、そういった記録が残っていることに感心する。こういった些細な事実の積み重ねが歴史の一翼を担うのである。

こちらは2年前(2015年10月中旬)の同じ場所。毎年生えてくるようである。花期がずれているからだと思うが花の勢いが足りない。

学名が「silene armeria」で、カタカナ読みだと「シレーン アルメリア」だ。「サイレーン」ではないらしい。この「シレーン」はギリシャ神話の神「シーレーノス(注:表記の仕方がいろいろあるが深く考えない方がいいと思う。所詮外国語である)」からきているという。上半身が人間で下半身が熊、しかも年中酔っ払っているという神様である。それでもバッカス(酒の神=ディオニューソスと同一らしい)の義父らしい。その神の名がこの花についたのは「酔ってアワだらけになった様子から」というが、よく分からん解説である。この「アワ」はビール(紀元前からあった)の泡でないとすると、口から出たヨダレになるが、「酔っ払って泡だらけ(ビールでなければワインを飲んだのだろう。これも古くからある)」という様子が想像できない。私が知らないだけで世間の人は酔っ払うと泡を吹くのだろうか。「嘔吐」の婉曲表現とも思えないが。神様が「吐瀉物」まみれでは何であるから、ここは「涎(よだれ)」で妥協しよう。

さて、この「ムシトリナデシコ」は下の写真の場所(青いラインの箇所)がベタベタとしています。それを「涎」と表現しているわけだ。粘着性があり「虫を取る」というが、虫がくっついているのを見たことはない。なお、この部分は「蟻除け」だと考えられている。「蟻」は行動範囲が狭いので花粉が広範囲に散らばらないのである。そうなると遺伝子の多様性の阻害要因である。


このベタベタした部分はそれほど粘着性は強くない。ポストイットの感じと似ている。小さなメモならくっ付けておけるだろう。

学名のもう一方「アルメリア」を解説していなかった。東海地方の住人は「アルメリア」と聞くと下呂温泉を頭に思い浮かべると思うが、これは「ムシトリナデシコ」のラテン語の古名だということだ。深い意味はない。現在「アルメリア」と呼ばれているのは「イソマツ(磯松)科」の花のようである。「アルメリア」より「磯松科」という科名が気になる。

こちらは去年(2016年12月25日)撮影したもの。こうなると花期は大した問題じゃないですね。一応の目安ぐらいの意味ですかね。

写真:zassouneko
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