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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

カキドオシ/ようやく会えました〜名古屋城のお堀で咲く

カキドオシ(垣通し)/シソ科/カキドオシ属
在来種 多年草 花期は4〜5月

5月のある日。ふと「カキドオシ」のことを思い出した。去年の秋頃に名古屋城のお堀(空堀)の脇で見つけたのだが、花期はとっくに過ぎていたので葉だけの状態だった。花をまだ見ていない。時間はあるので行ってみるか。

大きくなった葉。花は見当たらない。

お堀に到着したのだが「垣通し」の名前通りに柵の下からのびている大きな葉には花が見当たらない。あれれ、花期を過ぎてしまったか。気を取り直して改めて土手を覗き込んでみると、たくさんの花が見える。おお、これが「カキドオシ」の花か。

大きさはこのぐらい。全体の形は同じ「シソ科」の「ホトケノザ」や「ヒメオドリコソウ」を連想させるが花はずっと大きい。

見にくいとは思うが数百本の花がある。これだけあると見事である。

「カキドオシ」は古来より有名な薬草らしく、日本では「疳取草」、「連銭草」と呼ばれている。これが中国だと「活血丹」になる。いかにも効能があるような、とても漢方薬らしい名前だ。すぐにでも試したくなる。学名が日本のものとは違うが、中国にはもう一種「欧活血丹」というのがあり、学名からすると、こちらが日本と同じ植物のようである。

念願の花が見れて満足であったが、ちょっと大変な目にもあった。花を身近で撮影するためには腰の高さほどの柵を乗り越えなくてはならないが、それは大した障害ではない。純粋な好奇心が遵法精神を忘れさせてしまうというようなことは誰にでも起こりうると、自らを納得させればいいのである。後は運動能力の問題だけである。どうにか柵を乗り越えて写真を撮ってると、間の悪いことに小学生の一団が通りかかった。引率の先生がいるので、おそらく課外授業の一環だろう。

そいつらが、えー失礼、そのお子さんたちが横を通る際に「何してるんだろう」とか「なんかいるのか」とか、とにかく五月蝿い、またまた失礼、えー興味深々なのである。相手をするのは面倒なので聞こえないふりをしよう。こうした場合、花を観察するような素振りをすれば大人は自然と忖度(最近のはやり言葉だ)してくれるのだが、子供はそうはいかない。そのうち「どっから入ったんだろう」とか言い出した。根本的な問題に気付くとは、子供といえども侮れないのである。背を向けてしゃがんでいて本当に助かった。「柵を越えたんだよ」と良識ある大人は言えないのである。ところが不運は続くもので、小学生たちが信号待ちで立ち止まってしまったのである。もー早く移動してくれ。

ようやく騒がしい一団が過ぎ去った。やれやれと顔を上げると、なんと別のクラスの一団がこちらに迫っているではないか。まだ距離があるのでなんとかなる。撮影を切り上げ退散することにした。こんなに自由気ままで思ったことを口に出す子供達だが、大人になると忖度を身につけるのである。

写真:zassouneko
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