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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

スミレ属/日本はスミレの楽園だ

スミレ科(Violaceae)スミレ属(Viola)

スミレ科には21属あり980種を有する。と、たったこれだけを書くのに、ずいぶんと手間がかかった。ネットで検索すると全部で18属だの、いやいや19属だのと情報が錯綜しているのである。とりあえず一番数が多いのを載せてみた。真偽のほどは確かではない。ご容赦いただきたい。

冒頭の2枚の写真はおそらく「ホンスミレ(またはマンジュリカと呼ぶ。「スミレ」は科や属の呼び名である。「スミレ」と呼んでも間違いではないが正確さには欠ける)」。葉が細長いのが特徴で、この界隈で一番よく見かける「スミレ」だ。すぐ上の写真も「ホンスミレ」に似ているが草丈が「ホンスミレ」の半分ぐらしかなく、花の色もやや薄い感じがする。「ノジスミレ」か、はたまたその他の種か、それとも「ホンスミレ」の小さな個体なのだろうか。判断に迷う。

皆さんがよくご存知の「サクラ」はバラ科モモ亜科スモモ属だそうだ。つまり「バラ」と「サクラ」は同じ科であるから「仲間」なのである。「サクラ」と「モモ」は似ている気がするが「バラ」となるとちょっと納得しづらいなあ。だが学術的にそうなっているので素人の出る幕ではないのである。さて、本題の「スミレ」である。「スミレ科スミレ属」とあれば「バラ科スモモ属」よりは「スミレ科」全体の様子が想像しやすいように思う。あの紫色(白いのもあるが)の小さな花の仲間がたくさんいるのだろうと考えるのが当然だろう。だって「スミレ科スミレ属」と書いてあるじゃないか。

ところが素人の愚かな推測は簡単に打ち砕かれるのである。スミレ科に属する21属のほとんどは「木」なのだ。しかも地味で観賞用にすらならないものばかりだという。我々が頭に思い浮かべる「スミレ」のイメージの「草」は4属しかなく、「スミレ科」の21属の内のたった1属が「スミレ属」なのである。わずか1属の「スミレ属」が「科」全体の名前になったのは、この属に400種が属している大所帯だからだろう。「科」の4割を占める一大勢力なのである。

名前がはっきりとしないが上を「アリアケスミレ」、下を「タチツボスミレ」とした。間違っているかもしれないので、コメントで指摘していただけると助かります。

タイトルの「楽園」には訳がある。世界に400種ある「スミレ属」のうち、日本には60種を超えるスミレと、その変種が数十種生息しているという。これは国土の面積からいっても特筆すべきことである。世界の国々と比べると日本が占める面積の比率は0.25%(南極大陸を除く。面積に入れると比率はもっと下がる)しかない。それなのに世界中の「スミレ属」の約15%が日本に生えているのだ。そして面白いことに残り22属ある他の「スミレ科」の植物は日本には自生していないようである。つまり「スミレ属」だけが日本に生育しているのだ。ちょっと不思議である。起伏に富んだ地形と雨の多さ、また四季がはっきりとした温帯の隔絶された島国という自然環境が「スミレ」たちには快適だったのだろう。だから「楽園」である。

写真:zassouneko
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