マンネングサ(万年草)/ベンケイソウ科/マンネングサ属
帰化種(在来種) 多年草 花期は春
とりあえず「マンネングサ」としましたが、これは総称です。「マンネングサ」という名の植物はなく、「○○マンネングサ」という名前になります。春に花を咲かせる樹をまとめて「サクラ」と呼ぶのと同じことです。写真をいくつか載せていますが、私は未だに区別がついていません。冒頭の最初の写真は「メノマンネングサ(雌之万年草)」、冒頭の2枚目とこの文章の下の花がついていない写真は「オノマンネングサ(雄之万年草)」か「メキシコマンネングサ(墨西哥万年草)」のような気もしますが確信はありません。日本には在来種、外来種合わせて30種近くあり、どの種も星型の黄色い花をつけるので見分けがつきにくくて困ってしまいます。資料をざっと読んだ限りですが、見分け方のコツは「草丈」「葉の形」「輪生している葉の枚数」にありそうです。
春になるとマンションの植え込みなどで花を咲かせているのをよく見かけます。背が低いのでいわゆるグラウンドカバーという役割でしょう。冬の間も枯れることはありませんしね。同じような花をあちこちで見かけますので全部同じ種類の園芸種だと思っていました。どの種類でも花が同じに見えるので1種類しかないと誤解していたのです。それほど似ています。冬になって葉がよく見えるようになると、形に微妙な違いがあるのが分かります。植物が小さいので気付きませんでした。冒頭の写真も葉が違うように見えます。
上の2枚は同じ種類かな。
和名の「マンネングサ」は、「摘み取って捨ててもなお生き残ることから(跡見群芳譜より)」ということのようです。この草は多肉植物の仲間で乾燥にとても強く、葉は厚くふっくらとして柔らかな手触りです。ですが、ふっくらとしているから乾燥に強い訳ではないのです。秘密は光合成の仕方にあります。光合成には「光、二酸化炭素、水」が必要ですが、暑い日中などは不都合な問題が生じます。植物は光合成に必要な二酸化炭素を取り入れるために気孔を開きますが、同時に体内の水分も外へ抜けてしまうのです。暑い夏の日に植物が萎れてしまうのはそのためです。ところが「マンネングサ」の仲間は夜のうちに二酸化炭素を体内に貯めておいて、それを利用して昼に気孔を開くことなく光合成を行うことができるのです。日中に水分を逃がさないので乾燥に強くなります。こういった植物をCAM植物と呼びます。また葉がふっくらとしているのは体積が大きく表面積が小さいということですが、そうなると冷えにくくなるので、ある程度の寒さなら耐えることができます。
上の写真は海外の無料画像サイトから。
離島などに固有の種があるのは納得できますが、本州のごく狭い地域にだけ分布しているものもあるという珍しい植物です。島根県のある峡谷だけに自生しているような種もあり、それらのほとんどは準絶滅危惧種に指定されています(Wikipediaより)。
今回、調べて分かったことですが、この辺りでは少なくとも3種類の「マンネングサ」が自生しています。春になるのが少し待ち遠しい気分になりました。
写真:zassouneko