アケビ(木通、通草)/アケビ科/アケビ属
在来種 つる性の落葉木 花期は4〜5月 漢名:木通 学名は Akebia quinata(Thunb. ex Houtt.) Decne.
「アケビ」を取り上げたのは下の写真の植物が気になったからである。これは「アケビ」だろうか。
学名の「Akebia」は「アケビ」のことである。分かりやすい。そして「quinata」は「5」だ。葉っぱが5枚であるということで「クインテット(5人組)」と同じである。名前の由来は「アケビ」の実が割れることから「開け(あけ)実(み)」と呼ばれるようになり、それが訛って「あけび」となったという説と、「開けつび」が「あけび」となったという説がある。この「つび」は女性性器の古語であるという。どっちもありそうな話である。ところで、「アケ」は「開け」で統一されているが、そこはOKなんだろうか。
日本には以下の「アケビ」がある(数種類あるとは知らなかった。まだあるかもしれない)。「アケビ」、「ミツバ(三葉)アケビ」、「ムベ」、「ゴヨウ(五葉)アケビ」である。いずれも「つる性」で葉が複葉である。
「アケビ」の葉の形を「掌状複葉」という。手のひら(掌)を広げたような形で葉は5枚である(3枚か7枚のこともある/下の写真参照)。葉は卵型で縁(ふち)はなめらかである。「ミツバ(三葉)アケビ」の葉は名前通りに3枚だが、縁(ふち)が「アケビ」と違って波打った形(鋸葉)をしている。「ムベ」の葉は「アケビ」と同じ5枚だが、「アケビ」より細く先端が尖ったような形をしている。この「ムベ」は別名を「トキワアケビ」というが、「トキワ」とは常緑という意味で、その名の通り「ムベ」は落葉しない。また「アケビ」の実は割れるが「ムベ」は割れない。最後の「ゴヨウ(五葉)アケビ」は「アケビ」と「ミツバアケビ」の交雑種で両者の特徴がある。葉は5枚だが「ミツバアケビ」のように鋸葉である。
「アケビ」は秋の果実として有名だが薬草でもある。茎を乾燥させたものを利尿剤として使用するという。また、「アケビ」を「木通」と書くのは茎が中空だからだというが、それを確かめるために余所のお宅の「アケビ」を切るわけにはいかない。だが、薬草として服用されている方なら茎が中空かどうかはご存知だろう。
さて、この小さな5枚の掌状複葉は「アケビ」か、それとも「ゴヨウアケビ」だろうか。また、全然違うつる性の植物の可能性もある。茎を切って中空かどうかを確かめることもできるが、まだ小さいので、ちょっと可哀想な気がする。正体をご存知の方がおられましたら、コメントで指摘していただければ幸いです。
写真:zassouneko