フウセンカズラ(風船葛)/ムクロジ科/フウセンカズラ属
熱帯アメリカ・熱帯アジア・熱帯アフリカ原産 帰化種 つる性の1年草 花期は7〜11月草丈(長さ)は1〜1.5m
最初に見つけたのは10月の中頃だ。空き地に繁った背の高い雑草の中に半ば埋もれるように白い小さな花を咲かせていた。どうやら、つる性植物のようである。花がとても小さいが、どうやら5弁のようだ。他の植物に紛れて全体がよく見えないな。立派な柵があるのでこれ以上近寄れない。困ったな。それに、つる性植物は名前を探すのが面倒なのである。ということで調べもしないで放っておいた。11月に入ってから久し振りに近くを通ったら「ホオズキ」のような実がついているのを見つけた。あれ、最近どこかで見た記憶があるぞ。市政資料館近くの公園の柵に絡みついていたヤツと同じじゃないか。
公園で見つけたもの。空き地のものより立派で実も多い。
さて、名前を調べるか。まずは「ホオズキ」に似ているので「ナス科」辺りから見てみよう。うーん、無いな。公園に植えられているということは園芸種か。次は「ホオズキ 園芸種 白い花 秋」で検索をかけてみる。えーと、あったあった。これだろうな。えっ「ムクロジ科」?「ホオズキ」とは何の関係もないな。見つかったのは怪我の功名ってやつか。名前は「風船のような実をつける葛(つる性植物)」である。はい、そうですね。なんのひねりもない、ごく平凡な名前である。そのうえ渡来時期も不明である。いかん、話が終わってしまう。ネタを探さねば。
さて、この植物は「ムクロジ科」である。この科にはカエデやモミジ、トチノキ、ムクロジなど樹木ばかりであるが、この「フウセンカズラ」だけが草である。植物は「見た目で区別」派の私としては、この辺りの分類の仕方がいつも不思議に思う。それはそうと「ムクロジ」の種は真っ黒で硬く、羽根つきの羽根の重しになったり数珠玉に利用されたりする。この話は「子連れ狼」で読んだので知っていた。また「ムクロジ」を「無患子」と書くのは「羽根つき」と関係がある。「羽根つき」とは、羽根を「蚊を食べてくれるトンボ」に見立てて、蚊が媒介する病気を避けるおまじないなのである。つまり「子供(女児)に患(わずらい)いが無い=無患子」である。と、言われているがちょっと怪しい。冬の最中に虫除けのおまじないをしなくてもよいと思うのだ。なぜなら「おまじない」の効果が夏まで保たない気がするのである。余計なお世話かな。
「つる性」だけど先端は立ち上がっている(写真左上/10月撮影)。
「ムクロジ」の薬草名は「延命皮」という。薬にもなるのかと早合点してはいけない。この「延命皮」は果実の皮の部分のことで、有毒であるから服用してはならない。サポニンが多く含まれており、布袋などに入れて石鹸として使用するのである。19世紀初頭には「シャボン」と呼んでおり、油汚れに使うと記述がある。つまり清潔にしておけば「延命」するという認識があったのであろう。
玄関先に植えられた「フウセンカズラ」。未分類の写真の整理をしていて見つけた。2014年の撮影。この時には帰化しているとは微塵も考えていなかった。
強引に「ムクロジ」に話をふって記事のカサを増やしてみた。さて、この「フウセンカズラ」も石鹸としての効果があるのだろうか。「ムクロジ」の場合は果皮の部分にサポニンが含まれているわけだが、「フウセンカズラ」の果皮は薄く透けており「ホオズキ」のようである。サポニンが含まれていたとしても少量だろう。どのみち石鹸として使用などしないので、どうでもいいことだが。あと、種にハート形の模様があるという。こちらもどうでもいいことだ。
写真:zassouneko