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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

ローズマリー/ローズは薔薇ではない

ローズマリー(万年朗)/シソ科/マンネンロウ属
地中海沿岸原産国 常緑性の低木 花期は冬から春 漢名:迷迭香 学名:Rosmarinus officinalis

雑草ではないが面白そうなので取り上げる。まず「シソ科」のくせに「木」である。また、日本に帰化しているという記載はないが、そこらじゅうに生えている。もう帰化扱いでいいんじゃないの。最近はマンション周辺の植え込みにも用いられている。冒頭の写真もそれで、撮影は10月上旬である。

和名の「万年朗」は葉が常緑であることからだが、「一年中朗らか」ではバカみたいじゃないか。漢名の「迷迭香」の方が雰囲気はある。英語だと「rosemary」になり、学名の「Rosmarinus」から来ているように思われるがちょっと違うのだ。学名は「Ros=霧 marinus=海(マリーンかな)」なのである。「海の霧」とは「ローズマリー」が海岸近くに多く生えていたことに由来するようだ。それが「ローズマリー」になった理由は分からなかったが、単に発音が似ていたからだろう。誰にでも間違いはある。

JR中央線の千種駅から北の線路沿いには「ローズマリー」がいくつか植えられている。何でか知らんが、とりあえず常緑だからだろう。写真の後ろはすぐ線路だ。近所の人はハーブ取り放題である。

今では皆さんご存知の有名なハーブだが、意外と日本にも古くからやって来ており、1680年に狩野派の絵師「狩野常信」が写生したという記録が最初のようだ。その後、江戸後期の1820年にも渡来しているがほとんど普及しなかったという。つまり当時の日本人は「ローズマリー」に興味がなかったようである。和名が「万年朗」であることからも、それは分かる。普通は香りが優先するだろうが、日本人は「一年中緑」の方が気になったようだ。これは和食との相性だったような気がする。この時代、日本人は肉をほとんど食べなかったのでハーブは必要ではなかったのだろう。また香り自体があっさりとした和食に合うかというと「う〜ん」となる。パンとバターとオリーブオイルなら合いそうである。

公園の端に勝手に植えられた(捨てられた)「ローズマリー」。大きくなったので持て余すようになったか。剪定ぐらいすればいいのに。少し穴を掘ったようだが、根元の土が盛り上がっているのは植木鉢の土ごと置いたからだろう。植物のことを思ってのことだろうが、外来魚の放流と何ら変わりはない。ひと月ほど経ってから再び訪れてみたが、どうやら元気にしているようだ。ずっと前から生えていたような雰囲気で、何食わぬ顔をして公園に馴染んでいる。この冬を越せれば定着するのではないか。またしても近所の人はハーブ取り放題である。

追加&訂正(2016.10.20):タイトルを変更しました。

写真:zassouneko
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