クロタネソウ(黒種草)/キンポウゲ科/クロタネソウ属
南ヨーロッパ・北アフリカ原産 帰化種 1年草 花期は4〜6月 学名:Nigella damascena L.
名前の由来は種が黒いからである。学名の「Nigella」は黒、「damascena」はシリアの首都ダマスカスだ。学名の「黒」も種のことだろうから、それにそった和名なのだろう。また、この種はスパイスに利用するという。「ニゲラ」という名前のスパイスでカレーなどに入れるそうだ。ただ、スパイス専用に栽培された種類のものなら料理に使用できるが、それ以外のものはすべて毒があるという。おそらく写真の花も毒がある。それはそうと「種が黒い」って、わざわざ名前に採用するほどの特徴じゃないよなあ。種が黒い植物はいくらでもあるだろうし。そもそも和名なんだから日本人の感性に合った名前でいいのである。面白い姿をしているのだから、それを強調した方がよかったんじゃないかなあ。後から文句をつけるのもなんであるが。英語だと「霧の中の恋」とか「藪の中の悪魔」と呼ぶようだ。それはちょっと勘弁してほしい。
日本に最初に渡来したのは江戸の中期18世紀前半で、幕末にも遣欧使節が持ち帰った記録がある。帰化しているというサイトもあるが、実際はどうなんだろうか。今回見つけた花が江戸時代から世代をつなげてきた子孫とは思えないが、最近の品種でも種を蒔けば街の道路脇で育つのである。それでも原産国の気候から考えると、帰化できる地域は太平洋側の暖かい場所に限られるだろう。
写真のアングルが一緒なのは、咲いている場所が交通量の多い国道のすぐ横で、しかも手前には低い樹木が植わっているのでカメラの位置が限定されてしまうのである。車道側には出られるが逆光になるし、少々面倒くさかったのもある。
いくつか種類があるそうで、花の色もピンク、水色、白と多彩だ。少し前「ギンセンカ」を調べている際に、この花と間違えたことがある。ちょっと似ているのである。
こちらが「ギンセンカ」。今見ると全然似ていない。だいいち大きさが違う。植物の名前を調べる時、どうしてもネットに頼ってしまうのだが、そこに載っている写真だとサイズが分かりづらいものもある。形は似ていても大きさが違うことはよくあるのだ。
写真:zassouneko