ヒナタイノコヅチ(日向猪子槌)/ヒユ科/イノコヅチ属
在来種 分布は関東以西 多年草 花期は8〜9月 草丈は50〜100㎝
最近「イノコヅチ」が気になる。何だか2種類あるように思えるのだ(冒頭の写真)。調べたところによると「イノコヅチ」には「ヒナタイノコヅチ」、「ヒカゲイノコヅチ」、「ヤナギイノコヅチ」の3種があるという。まだあるのかも知れないが、それは珍しい部類のものだろう。街中の自宅の近辺でほいほいと見られるようなものなら検索に簡単に引っかかるはずである。
「ヒカゲイノコヅチ」は名前通り山林の日陰などに咲くという。写真だと穂が長くのび、葉の色がくすんでいるように見える。ヒョロヒョロとしていていかにも「日陰育ち」という感じがする。「ヤナギイノコヅチ」も山野の日陰を好み、「ヒカゲイノコヅチ」と似た雰囲気があるが、葉の幅が狭いところが大きく違う点だ。だが、他の「イノコヅチ」と比べれば充分細いのだが「柳の葉」ほど細くは見えないな。また、この両者とも「ヒナタイノコヅチ」と比べると葉が密集しておらず、間隔が開いている気がする。冒頭の写真の2枚目の雰囲気に似ている。
若い「イノコヅチ」。まだ穂は出ていない。
「ヒナタイノコヅチ」の特徴に「葉が波打っている」というのがある(上の写真参照)。それに対して「ヒカゲイノコヅチ」は「波打たない」らしい。となると、やはり冒頭の2枚の写真は「ヒナタイノコヅチ」のようだ。下の2枚の写真を見ていただきたい。上は去年、下は今年に撮影したもので場所は同じである。ここは毎年「イノコヅチ」が生える。全体の印象がかなり違って見えるが、同じ「イノコヅチ」と言っていいだろう。つまり街中で見かける「イノコヅチ」はすべて「ヒナタイノコヅチ」ということだ。
ずいぶんと穂が伸びるものだ。上と比べて下の写真のコントラストが弱いのは「盛夏」と「中秋」の光の差と天候のせいだろう。簡単な補正はしたのだが。カメラの腕前が‥と言われれば返す言葉もない。
植物が成長する過程で姿を変えるの当たり前であるが、この「イノコヅチ」は何かが引っかかっていた。この原稿を書いたおかげでその違和感の正体が分かった。「イノコヅチ」は穂の部分だけが異様に成長するのである。5倍近くのびるのではないか。そのため植物全体のバランスが以前とは異なって見えるので、それが違和感につながったのだ。はースッキリした。
写真:zassouneko