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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

コチヂミザサ/名古屋城のもう一つの顔

コチヂミザサ(小縮み笹)/イネ科/チヂミザサ属 
在来種 多年草 花期は8〜10月 草丈は15〜30㎝

今年(2016年)の秋は雨の日が多い。台風も多く来た。10月の最初の土曜日、やや曇ってはいるが雨の予報は出ていない。それではということで名古屋城の辺りに雑草を探しに行って来た。と言っても城までは行っていない。久屋公園の北側、お城の外堀あたりを自転車で巡っただけだ。それでも新しい雑草との出会いはある。

小穂から出ている長い芒(ひげのようなもの)が特徴的だ。茎はしっかりとして、ほぼ直立するが、よく見ると小穂に引っ張られるかのように右や左に少しカーブしている(上の写真)。また、葉が少し波打っておりシワがある(下の写真)。葉が縮んでいるように見えるので「チヂミザサ(縮み笹)」の名がついた。

この草を調べていると、3つの名前が挙がってくる。「チヂミザサ」「コチヂミザサ」「ケチヂミザサ」である。この3種に分けているサイトもあれば、同一のものとしているところもある。また「チヂミザサ=ケチヂミザサ」としているサイトもある。色々と写真を見てみると「チヂミザサ」「ケチヂミザサ』には「芒」とは別の細かな毛が小穂から生えているようだ。今回撮影したものには見当たらないので「コチヂミザサ」だろう。

あるサイトにこの草も「ひっつき虫」であると書かれてあった。「芒」を引っ掛けるのかと思ったら粘液を出してくっ付くのだという。さっそく触ってみたが普通の触感である。粘液は見当たらない。実が熟さないと粘液が出てこないのかもしれない。

冒頭にこの植物を名古屋城の外堀近辺で見つけたと書いた。通常なら植物の生えている場所の明記はしないようにしている。ひっそりと咲いているのに余計な邪魔をしたくないからである。今回、場所を記載したのは訳がある。もしこれが刈られてしまっても問題がないことは確認済みなのである。外堀の中、人手が入りにくい場所の何ヶ所かにたくさん生えているのだ。次世代への受け渡しに何ら問題はないだろう。在来種でもあるので、断絶は避けたいところだ。

視点を変えてみれば、この外堀は雑草の宝庫である。名古屋城のすぐ脇の内堀は鹿も飼われているし、観光客の目にも触れやすいのでそれなりの管理はされている。ところが、外堀は自然のままの状態である。外堀の底、平面の部分は雑草が少ないので草刈りはしているのかもしれないが、そのぐらいでは雑草に大した影響は与えないだろう。それに湧き水があり「ホタル」も自生しているということだ。「三越」や「東急ハンズ」から歩いて10分もかからない場所で自然のホタルが見られる街は他にないだろう。

この外堀は1976年まで名鉄電車が走っていたことでも有名だ。なかなか面白い景観だっただろう。それが無くなり今は雑草の楽園のようになっている。だが、それを嘆くことはない。皇居の中も同じような状態だというではないか。ところで、お堀を電車が走っていたと書いたが、私には全く記憶がない。行ったことも見たこともない。名古屋人なのにと思われるだろうが、東京に住んでいても東京タワーに登ったことのない人も多いだろう。そういえばテレビ塔に登った記憶もない。単に忘れているだけかなあ。まあ、一生涯登らなくても後悔するようなもんでもないしなあ。

写真:zassouneko
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