オギ(荻)/イネ科/ススキ属
在来種 多年草 花期は9〜10月 草丈は1.5〜2.5m
去年の秋に「オギ」が繁茂している空き地を見つけた。「オギ」は河川敷などのやや湿った場所を好むというから、当初は「ススキ」だろうと思っていた。「ススキ」は山野、空き地、放棄された耕作地などに生えるからだ。ところがこれは「オギ」だったのである。ここは住宅地なのだが「オギ」の生育に適している場所のようだ。つまり、やや湿っているということだ。10月の声も聞こえるようになったので、久し振りにこの場所を訪ねてみた。どうやら今年も元気そうである。草丈も軽く2mを超えている。上の写真の左下はおそらく「オオアレチノギク」、右に立っているのは「セイタカアワダチソウ」だ。「オオアレチノギク」は枯れる寸前で傾いているが、「セイタカアワダチソウ」の方は蕾もついていない。黄色の花を咲かせるまでにはまだ少し間がある。この場所はどうしたわけか巨大な雑草が多い。
こちらは「ススキ」。草丈は1.5mほどである。
「オギ」と「ススキ」はよく似ており、見分けがつきにくい。だが、源順(みなもとのしたごう)の「倭名類聚抄(934年)」には「荻は和名乎木(オギ)」、「薄に和名須々木(ススキ)」との記述があるようだ。千年以上昔の平安時代でも両者の区別はついていたのである。
上の写真は「オギ」の穂。同じ場所に生えていたので「ススキ」じゃないと思うが。
「ススキ」の穂は赤紫色になる。「オギ」も始めは薄い色がついているが、すぐに純白の毛に包まれる。それに比べ「ススキ」の毛はうっすらと茶色がかっている。また、手触りがずいぶんと違う。「オギ」と「ススキ」の穂の感触を例えるなら「ウサギ」と「芝犬」ほどの違いがある。「ススキ」の毛もそれなりに柔らかいのだが「オギ」と比べると硬く、穂についた殻(でいいのかな)の部分が指にあたるので手触りは良くない。「オギ」はそれが少なく毛もフワフワで気持ちいいのだ。
上の写真は「オギ」の根もと。茎は1本ずつ離れている。
こちらが「ススキ」の根もと。一ヶ所からのびてくるので、茎は同心円上に集まっている。「ススキ」は一ヶ所を中心に茎や葉をのばすが、「オギ」は横にのびた根茎から横に移動しながら芽を出す。
去年撮った写真と今年のものを見比べてもほとんど同じである。季節は巡るというが、植物も似たようなものだろう。ただ、植物は生きているから環境の影響を受ける。四季の多少の変動なら受け流せるが、外来種が入り込んで来ると様相は変わってくるだろう。
写真:zassouneko