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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

オオヨモギ/お役に立ちます

オオヨモギ(大蓬)/キク科/ヨモギ属
在来種 多年草 花期は8〜9月 草丈は1.5〜2m 漢名は魁蒿(カイコウ)

この「蓬」という漢字はいわゆる中国語であるが、これは中国では「キク科ムカシヤナギ属」のことを指す。日本で「ヨモギ」と呼ばれる植物は中国では「 魁蒿(カイコウ)」となる。この「 魁蒿」を「ヨモギ」と呼ぶのなら問題はなかったのだが、「蓬」を「ヨモギ」と読むことにしてしまったのが失敗である。すでに「蓬」が世間に行き渡ってしまったので手遅れである。もっとも、それで何か問題が起きるわけでもないので放っておいてもかまわないだろう。

「ヨモギ」の語源は「四方(しほう=よも)に広がる」からというのと、「よく燃える木=善燃木」だからだというのが代表的な説だ。また、葉の裏の毛がお灸に使う「もぐさ」になるが、それは「燃草」からきているという。 源順(みなもとのしたごう)の「倭名類聚抄(934年)に「和名与毛木」とあるが、この「毛」が「もぐさ」と関係があるのかは不明である。発音を表しているだけかもしれないからだ。この「もぐさ」を採るには大きな「オオヨモギ」の方が向いているという。大きいので量がたくさん採れるのだ。

「ヨモギ」は薬草として評価が高い。参考にしている薬草のサイトでは胃腸の病、痔、喘息、神経痛など効能がある症例が12ほど挙げられている。よく知られている「アロエ」と比べても、その数は倍である。しかも「お灸」や「草もち」などの利用は含まれていないのだ。これほど薬効や利用法がある植物は他にはないだろう。これは「ヨモギ」だけでなく「オオヨモギ」も同様であるから、なかなか心強い。 

「草もち」などには春の頃(4〜5月)の若葉を利用するという。花期は8〜9月であるから、花が咲くまでに4ヶ月ほどかかる。花が終わっても枯れるまでには時間があるので、通算すると半年近くは「ヨモギ」として存在していることになる。ずいぶんと長いな。

薬草として利用する場合には「ヨモギ」でも「オオヨモギ」でも効能に変わりがないので気にする必要はないが、いざ区別をつけようとするとよく似ているので困ったことになる。「ヨモギ」は草丈が1.2mほどだと言われているが、それだけで「ヨモギ」とは判断できない。雑草にも個体差はあるので、小さく育った「オオヨモギ」もいるのだ。

「オオヨモギ」と「ヨモギ」の違いの一つは葉の形である。「オオヨモギ」の葉は細めで先が鋭く尖っているが「ヨモギ」は全体的に丸みがある。だが、これは2種の葉を並べて見比べれば判別は容易だが、単独では難しい。もう一つ違いがある。「ヨモギ」の葉には「托葉」があるのだ。葉が茎とつながる辺りに、小さな葉が蝶ネクタイのように並んで2つ付いているのだ。 
これが「ヨモギ」。葉の付け根に「托葉」がある(写真中央)。

いいことばかりの「ヨモギ」だが欠点もある。それは秋の花粉症をひきおこす植物の一つであるということだ。まあ、花粉症でない者にとっては「ヨモギ」に欠点などないわけであるが。上の写真などは花粉症に悩んでいる人にとってはおぞましい限りであろう。写真の真ん中やや右に「セイタカアワダチソウ」が黄色の花をつけている。以前は誤解されたようであるが、こちらは花粉症をひきおこさない。

写真:zassouneko
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