クワクサ(桑草)/クワ科/クワクサ属
在来種 1年草 花期は9〜10月 草丈は30〜80㎝
上の写真は「桑と桑の実」(無料画像サイトより)。葉の裏側しか写っていないが形は分かる。
名前の由来は「桑(木)の葉っぱと似ているから」である。かなり大雑把な気がするが、両者とも葉の付け根辺りに実をつけるという共通点も見られるので、「桑草」という名前でもおかしくはないだろう。検索したサイトでは「地味だ」「目立たない」「ありふれた」という語句が目につく。散々な言われようである。写真の植物はコインパーキングの片隅に咲いているのだが、思い返せば去年もここで見たような気がする。気になったのでアルバムを見返したら、桜通り沿いに咲いていたものをカメラに収めていた。撮影したことを忘れていたのである。やはり印象に残らない地味な草なのか。
以前にも名前を探ろうと努力はしたのである。葉が「シソ」に似ているからと、「シソ科」を探したりもした。一見地味だが、花(花には見えないが)のつき方には大きな特徴がある。互生した葉(シソの葉は対生)の付け根に茎を取り囲むように丸くなって咲くのである。だが、その状態を表現する言葉が思いつかないのだ。どんな言葉で検索をかけていいものやら。
上の写真の左が「クワクサ」、右が「シソ」。
よく見れば「シソ」とは葉の形が違う。ギザギザの部分(鋸葉)の角が「シソ」は尖っているが、「クワクサ」は半円が連なっているような形をしており丸みを帯びている。今回、ようやく名前が判明したのは学生版「牧野日本植物図鑑」を最初から最後まで全部見たからである。いわば力技だ。でも見つかってよかった。この図鑑にも載っていない雑草も結構あるのだ。
地味な雑草だが面白い性質を持っている。種を自ら飛ばすことができるのである。種のある部分が、鳥が嘴(くちばし)で豆を咥えているような形をしており、熟してくると嘴の中の圧力が高まって種を飛ばすのだという。分かり易く言うと「茹でた枝豆のさやを指でつまんで中の豆を飛び出させる」のと同じである。「クワクサ」も枝豆と同じように、成熟した実を指でつまむと、種を飛び出させることができるという。地味な雑草だとばかり思っていたが、何だか面白そうじゃないか。秋になったらやってみるか。
写真:zassouneko