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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

マメグンバイナズナ/貧者の胡椒

写真上「マメグンバイナズナ」、下「ナズナ」。

マメグンバイナズナ(豆軍配薺)/アブラナ科/マメグンバイナズナ属
北アメリカ原産の帰化植物 越年草 花期は5〜6月 別名:セイヨウグンバイナズナ

「マメグンバイナズナ」は明治の末期、1910年に確認された帰化植物である。神戸で発見されたので「コウベナズナ」ともいう。「グンバイ」とは、相撲の行事が使う「軍配」のことで、実の形が似ていることからその名がついた。「マメ(=小さい)」とつくからには、ただの「グンバイナズナ」もいるのである。また、別名に「セイヨウグンバイナズナ」とあるから、「セイヨウ(西洋)」ではない、日本の「グンバイナズナ」もこれまたいるわけであるが、この「グンバイナズナ(グンバイナズナ属)」はヨーロッパ原産の帰化植物で、1776年(安永5年)に日本に渡来しているのである。渡来から100年以上経ってしまったので、ヨーロッパ原産なのを忘れちゃったのかな。歴史に疎いので1776年のイメージが浮かばないが、10代将軍徳川家治の時代であり、平賀源内がエレキテルの器械を完成させ、鳥山石燕が「画図百鬼夜行」を出版した年だ。海外ではアメリカが独立した年でもある。まあ、それでも「ふ〜ん」としか感想がないが、これは学生時代に勉強をサボったツケである。

以前から気になっていたのだが、「胡椒(コショウ)」も「唐辛子」も共に「ペッパー」と呼ぶのをどうにかできないのだろうか。どうにも違和感があって気になる。これはコロンブスが航海の末に到着した場所をインドだと勘違いし、そして、そこから持ち帰った「唐辛子」を、その頃西洋に莫大な富をもたらした「コショウ」の仲間だと考えたのが誤りの始まりである(インドは胡椒の産地である)。「チリペッパー」とも言うが、「チリ産の胡椒」という意味であるから、間違っていることには変わりはない。「コショウ」はコショウ科の木で、「唐辛子」はナス科の草である。

その「胡椒」が「マメグンバイナズナ」と何の関係があるかというと、「マメグンバイナズナ」は英語名で「貧者の胡椒(poorman's pepper)」と呼ぶのである。しかし胡椒のように乾燥させた実を利用するのではなく、葉を食べる。英語名で「common peppergrass」「Virginia pepper weed」とあるのは、葉を食べるからである。また「胡椒草」という名で種が売られており、こちらは「カイワレ大根」のように発芽したものを食べる。これはアブラナ科マメグンバイナズナ属の植物の種子である。どちらの使用法もサラダのいいアクセントになりそうだ。もともと、日本の「ナズナ」も食用として長く利用されてきた。「春の七草」にも選定されている。早速、道端に生えている葉っぱを齧って、味を確認してみようと思ったが、こういう時に限って「マメグンバイナズナ」が近所に見当たらない。どこかに生えている筈なのだが、その場所を忘れてしまった。

「グンバイナズナ」は実が1㎝ほどあるというから、上記の植物は、それより小さいので「マメグンバイナズナ」でいいように思う。名前に「マメ」と付いているが、草丈は腰の辺りまであり、日本の「ナズナ」よりはるかに大きい。また茎が途中で幾つもに分岐するので、「ナズナ」とは形がずいぶんと違ってくる。この「マメグンバイナズナ属」の仲間は日本に10種ほどいるようなので、この名前であっているかどうかは自信がないが、おおむね「マメグンバイナズナ」だということにしておきます。

写真:zassouneko



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