ヘラオオバコ(篦大葉子)/オオバコ科/オオバコ属
ヨーロッパ原産の帰化植物 多年草または1年草 花期は6〜8月 草丈は20〜80㎝
あらら、一本取られたな。こいつ「オオバコ」かよ。またどこぞの観葉植物が帰化したのかと思い込んでいたので、調査にずいぶんと時間がかかってしまった。こんな大きな「オオバコ」があるとは思いもしなかったのが原因だ。なんせ草丈が私の腰辺りまである。他の「オオバコ」と比べると、体格差があり過ぎなんじゃないの(下の写真参照)。
上:在来種の「オオバコ」で草丈は15㎝ぐらい。下:帰化種の「ツボミオオバコ」。長いものでも30㎝ほど。
今だから言えるが、よく見れば「オオバコ」共通の構造をしている。それに気付かなかったのは、はなっから観葉植物と決めつけていたからである。何せ人は美しい花ばかりを追い求めるのではなく、おかしな姿の花も好むからである。最初に見つけた時に「観葉植物にしては地味だな」とは思ったが、そこはそれ、花の好みは人それぞれに違うし、変わった形が庭の中では逆に映えるのでは、と考えたからである。これが、まるっきり見当違いでした。
江戸時代末期に渡来とあるが、鑑賞用ではなく、薬としてやって来たようである。調べてみると、去痰や利尿に効果があると出ていた。「ヘラオオバコ」の名前の由来は葉の形が「ヘラ(箆)」に似ているからということである。それに「ヘラ」の漢字は「箆」でも「篦」でも構わないようだ。植物の名前に「ヘラ〜」と付いているものがいくつもあるが、大抵は「しゃもじ」のような葉の形をしているものを「ヘラバ〜」とする場合が多い。だが「ヘラオオバコ」の葉は「しゃもじ」には見えない。念のため「ヘラ」で画像検索すると、いろいろな形の「ヘラ」が出てくる。ちょっと「ヘラ」の範囲が広すぎるような気がするが、植物に命名するにあたっては便利な言葉ではある。でも、なんで「ヘラバオオバコ」と名付けなかったのだろうか。
大型の「オオヘラオオバコ」というのもあるそうだが、この写真がそうであるかは不明である。じっくりと見れば面白い形をしているし、ある種の魅力を持った植物のように思う。庭のいいアクセントになる気がするが、いかんせん要注意外来生物である。そうそう、この草の花言葉が秀逸で、「惑わされないで」だそうだ。うーん、それは「雑草という見かけに惑わされず、素直な気持ちになって庭に植えてほしい」ということか、「要注意外来生物だから、将来の日本の自然を考えて植えてはいけない」ということなのか。なかなか意味深な言葉である。生まれて初めて「花言葉」に感心した。
写真:zassouneko