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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

オオキンケイギク/その2/さまよえるキンケイギクと私

「キンケイギク」が日本に帰化していないというのを、はっきりと確認できたわけではない。だが、野草を紹介しているいくつかのサイトには「キンケイギク」の項目は見当たらない。見当たらないのは帰化していないからである。かろうじて項目があったサイトを1つ見つけたが、そこでは「キンケイギク」を園芸種として扱っているから、当然帰化の情報は載っていない。このサイトの小さな写真だけでは「オオキンケイギク」との違いが分かりづらいので、「キンケイギク」で大きく検索をかけてみると、「ハルシャギク」に見える画像ばかりが引っかかる。個人のブログやHPが多いので誤っている可能性もあるし、これでは参考にならない。 とにかく写真が見たかったので、次に海外の無料画像サイトを探してみた。
上の写真は日本の無料画像サイトで「ハルシャギク」で検索して出てきた画像の一つである。日本の「ハルシャギク」のイメージはこれだろう。花びらの中心から濃い色の部分が広がっている。そして「キンケイギク」「オオキンケイギク」はそれがなく、黄色一色である。

上の写真は「オオキンケイギク」特定外来生物

上が「ハルシャギク」で検索したもの(キンケイギクではヒットしなかった)。下が「tickseed(キンケイギクの英語)」で検索したものである。上の写真では「ハルシャギク」の色の濃い部分が見当たらない。これでは「キンケイギク」や「オオキンケイギク」と変わりない。下の写真は「キンケイギク」と言っていいが、こういったサイトは植物の専門サイトではないので、誤ったタグを付けていることもある。これでは正確な情報とはいえないので、学名で検索をかけてみることにする。以下の名前と学名はWikipediaを参考にした。

①キンケイギク(Coreopsis basalis)英語名:tickseed,caliopsis
②ハルシャギク(Coreopsis tinctoria) 英語名:golden tickseed
③オオキンケイギク(Coreopsis lanceolata)
④ホソバハルシャギク(Coreopsis grandiflora)
⑤イトバハルシャギク(Coreopsis verticillata)
⑥ハマベハルシャギク(Coreopsis maritima)

ますます混乱してきた。写真は使用できないので文章で説明します。まず①から④までは「ハルシャギク」にしか見えない。いずれも色の濃い部分があるのだ。⑤と⑥は黄色一色だが、花や葉の形がまるで違うので除外。①と②の違いは②の「ハルシャギク」の方が①の「キンケイギク」に比べて、濃い色の部分が広いということと、花の中央にあるドーム状の部分が大きく盛り上がっているということである。③の「オオキンケイギク」が日本のものと同じに見えるが、濃い部分がある花の写真もいくつかあった。④の見た目が一番日本の「オオキンケイギク」に近いが(つまり「キンケイギク」にも似ている)、葉の形が異なっている。そもそも種が違うので似ていても意味がない。
さて結論。よく分からん。考えてみたら、学名で検索した海外の写真が品種改良された園芸種か、そうでないものなのかは判断できないのだ。普通は学名の後ろに品種名が入ると思うが、何も記載していない写真も多く、その割には花にバリエーションがある。どれが学名の花なのか、どれが新しい品種なのかが分からない。

「キンケイギク」と検索すると本来の「キンケイギク」でない画像が出てくるのは、花を売っている業者に問題があるという記述を見つけた。「キンケイ菊(←漢字であることに注目)」という商品名で④の「ホソバハルシャギク」を販売しているというのだ。前述したように「ホソバハルシャギク」が「オオキンケイギク」に一番似ているし、その「オオキンケイギク」に似ているのは「キンケイギク」だからであろう。しかし葉の形が全然違うのだ。「キンケイ菊」という名前で販売されていれば、それを消費者が「キンケイギク」と呼ぶのは当たり前である。なんでそんな名前にするのかな。「キンケイギク」は標準和名だし、それと同じ発音の名前をつけるのはどうかと思う。実際は「ハルシャギク」なのである。そして「キンケイギク」は市場に流通しておらず、手に入れるのは不可能であるという記載も見つかった。それにつけ込んだ命名だとしたら、ちょっと悪質ではないか。これでは本来の「キンケイギク」の存在が消え去ってしまうではないか。

これは「ツユクサとハカタカラクサ」「ツキミソウとマツヨイグサ」のように、同じ仲間に違う名前を付けたのが混乱の原因である。妙な名前の園芸種が増えてくると、事態が複雑になって面倒くさい。

追伸(2016.5.24):後日、海外のサイトで「キンケイギク」の写真を見つけたが、「ハルシャギク」にしか見えない。中央に色の濃い部分があるのだ。これでは最初に見つけた写真とは違う。日本に持ち込まれたものが特殊だったのだろうか。

写真:無料画像サイトより。「オオキンケイギク」はzassouneko撮影
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