忍者ブログ

雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

ツキミソウはマツヨイグサではない/その2/要約してみた

昨夜ブログにアップした「ツキミソウはマツヨイグサではない/その1」を読み返して、分かりずらい文章だなと我ながら思う。やはり酒を飲みながら文章を書いてはいけないということだ。いずれ書き直すつもりだが、反省の意味も込めてしばらくは残しておく。その代わりと言ってはなんだが、少し整理したものをアップする。話は変わるが(いきなりで申し訳ない)、いつも「アップ」とするか「up」にするかで迷っていたが、私は「アップ」にした。どうでもいい話でしたね。では本題に入ります。 

以下に「マツヨイグサ属」を渡来順(江戸〜明治〜大正)に並べ、日本語と中国語を比較してみる。和名→漢字→中国語の順で、和名の後ろの( )は花の色である。

      和名                     日本語       中国語
①マツヨイグサ(黄)              待宵草       待宵草
②ツキミソウ(白)               月見草       四翅月見草
③オオマツヨイグサ(黄)          大待宵草     黄花月見草
④ユウゲショウ(ピンク)          夕化粧       粉花月見草
⑤メマツヨイグサ(黄)            雌待宵草     月見草
⑥コマツヨイグサ(黄)            小待宵草     裂叶月見草
⑦ヒルザキツキミソウ(薄いピンク)  昼咲月見草    美麗月見草

こうして並べてみると命名に関しての傾向が見えてくる。日本は花の色で名前を分けている。花の色が黄色だと「〜マツヨイグサ」になり、それ以外の色の花は「ツキミソウ」と名付けられるようだ。④は名前を少しひねりすぎたようで、これだと「待宵草」や「月見草」の仲間だとは気づきにくいが、「待宵草」が持つメタファーの部分は共有している(「その1」参照)。それに④の別名は「アカバナユウゲショウ(赤花夕化粧)」で、ここに「赤花」と色を指定しているから②の花の色を意識していることは分かる。「アカバナツキミソウ」でもいいと思うのだが。⑦は色には言及しておらず、代わりに「昼に咲く」という特徴を名前につけたようだ。

一方、中国は「月見草」で統一したようだが、①だけが「待宵草」であるのが不思議だ。③は「白い月見草」を意識しているような名前であるが、そうなると⑤をただの「月見草」としているのが謎である。もっとも、これは日本へ渡来した順番であるから、中国も同じとは限らない。また、ここに記した中国名も私が探したものなので正確かどうか自信はないし、漢字の意味も日本とは違う場合もある。けれども半ば強引に以下の結論を書く。

・「月見草」の花の色は白である。
・花の色が黄色ならば「待宵草」と呼ばなければならない。同じ花を中国が「月見草」と呼んでいても、それは中国だけで通用する名前である。正確な名前を呼びたかったら原産地の呼び名をカタカナに直して発音すればいい。

よく分からないのは「待宵草」と「月見草」を混同させるような流れになったのは、どの時点からなのかということだ。大正時代は竹久夢二の「宵待草」の全盛期なので、「月見草」の出る幕はないはずだ。象徴的な出来事は一つ心当たりがある。「オレは月見草」と発言した元プロ野球の監督は世間で話題になっていたはずだ。「月見草」の名を広げるにはいい機会だったと思う。だが、この監督の見た花は黄色の「待宵草」だったはずだ。そう決めつけるには理由がある。本来の「白い月見草」は帰化できなかったのである。園芸品種なら今でも手に入るが、自然の中で自生することは無理だったようだ。この監督は空き地や野原で夜にひっそりと咲く花を見て、それに自分の姿を投影したと思われる。手入れされた花壇や世話の行き届いた鉢植えの花を見て、しんみりとしたわけではあるまい。「ヒルザキツキミソウ」を見たという可能性があるが、それならば植物の知識が相当に豊富な人物だということである。野球人には見かけないタイプだ。
PR