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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

ヘビイチゴ/イチゴかと思ったらやはりイチゴだった/訂正しました

ヘビイチゴ(蛇苺)/バラ科/キジムシロ属
日本の在来種 多年草 花期は4月 5〜6月に実をつける 

国道19号から一つ入った所にある駐車場の脇に咲いていた。見た瞬間に「苺だ!」と早合点したが、よく考えてみれば何かおかしい。捨てられたイチゴから発芽した可能性もあるが、園芸種のイチゴはそれほどワイルドとは思えない。そんな簡単に芽が出るのであれば、多くの家庭菜園がイチゴを栽培するだろう。イチゴは人気のある果実だからだ。何にせよ、この葉だけで判断するのは難しいので花を待つことにしようと決めた。それから2週間後、再び訪ねてみると黄色の花が咲いているではないか。花は手がかりになる。さっそく調べてみると「ヘビイチゴ(蛇苺)」のようである。
訂正(2016.4.28):当初「ヤブヘビイチゴ」で掲載しましたが、どうやら「ヘビイチゴ」のようです。お詫びして訂正します。
3月の中旬に初めて見つけた時の様子。

幼児の頃に、道端に生えている赤い実を摘んで食べていたという記憶がうっすら残っている。そこら中に生えていたのを歩き回りながら食べていたのだ。その赤い実を今まで「蛇イチゴ」だと思い込んでいたが、今回、いろいろと調べていくうちに、食べていたのは「木苺」の可能性が出てきた。味は忘れてしまったが、幼児が自ら(近所だから親はいなかった)口に入れるほどだから、ひどい味ではなかったのだと思う。最初の一口は酸っぱさを感じたものの、食べ続けていくうちに味に慣れてしまい、次々に口へ運んだのである。立った姿勢で実を摘んだのなら「木苺」、しゃがんで摘んだのなら「ヘビイチゴ」となるが、さて、どうだったかなあ。腰の高さぐらいにある実を摘んだような記憶があるので、そうなると「木苺」かな。ここまで読まれた方は「すごい田舎に住んでいたんだ」と思われるだろうが、名古屋市内の話である。半世紀前はそんな環境が市内に残っていたのだ。

10世紀頃の書物に「以知古」という記述があり、それが「イチゴ」になったようだ。この「以知古」はスーパーで売っているような「イチゴ」ではなく、「野イチゴ」全般を指している。「ブルーベリー」のような「木苺」と「草苺」のことである。残念ながら「蛇イチゴ」に代表される「草苺」は食べても美味くないという。中国でも「ヘビイチゴ」は「蛇苺」と書くので、日本でもそれを採用したのだろう。なぜ「蛇」と付けられたのかは諸説ある。その一つが「ヘビイチゴ」は不味いので「蛇しか食べない」というものであるが、蛇はイチゴを食べないので、これはちょっと強引だ。中国人でもそれぐらいは知っていただろう。日本にも「ヘビ〜」と頭につく植物があるが、大半は形状が「蛇に似ている」ところから名付けられたものだ。日本で名前を付けるとすると「カラスイチゴ」か「イヌイチゴ」になっただろう。もう一つの説はこの実を食べに来る小動物を狙うために、蛇がこの草の近くで待ち伏せをしたという説だ。なんとなく納得させられる話である。どれが正しいかは中国人に聞いてみないと分からないが。ところで「草苺」を「クサイチゴ」と書くと、それは「木苺」の仲間の名前になってしまう。そちらは甘いそうである。なんだか面倒な話である。
この「ヘビイチゴ」がどこからやって来たのかは分からない。見つけたのが駐車場であるから、車のタイヤなどに種がくっ付いていたのかもしれない。あと1ヶ月もすれば実がつくであろうから、その時は食べてみることにしよう。毒は無いはずだ。問題はそれまでに刈られないで残っているかどうかである。もし食べることができたら、味の報告をしたいと思う。
訂正(2016.4.28 当初「ヤブヘビイチゴ」で掲載しましたが、どうやら「ヘビイチゴ」のようです。お詫びして訂正

写真:zassouneko
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