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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

ムラサキサギゴケとトキワハゼ/どっちがどっち?

・サギゴケ/ムラサキサギゴケ(鷺苔)/ハエドクソウ科/サギゴケ属
在来種 多年草 花期は4〜5月 中国、台湾にも分布
・トキワハゼ(常盤黄櫨)/ハエドクソウ科/サギゴケ属
在来種 多年草 花期は4〜11月 東アジアからロシア、インドに分布

まず最初に「ハエドクソウ科」の説明から。日本の在来種に「ハエドクソウ(蠅毒草)」という植物があり、それと同じ科であるということだ。なんで「蠅毒」なのかというと、この草を煮詰めると毒が採れるので、それを蛆や蠅を殺すのに利用したのだという。これは人間にも毒であるから注意が必要であるが、この草をわざわざ食べるようなことは考えられないので、気にすることはあるまい。ところで、「サギゴケ」も「トキワハゼ」も以前は「ゴマノハグサ科」に分類されていた。この科は1980年頃に作られた「クロンキスト体系」に拠るものであったが、最近(1998年)になってDNA解析をもとにした「AGP3体系」が提唱され、それによる分類だと「ハエドクソウ科」になってしまうのだ。だから「ゴマノハグサ科」と表記しているサイトがあるのは、そういった理由からである。図鑑や辞典の会社は書き換えが大変そうである。

「サギゴケ(鷺苔)」の名前の由来は、花の形を鳥の「鷺」が羽を広げている姿に見立て、また「苔」のように地面をへばりつき、這うように成長するところからきている。もっとも「苔」とついていても苔の仲間ではない。この「サギゴケ」の名を巡って意見が二分している問題があるという。「サギゴケ」は花の色が違う2種がいる。紫色のものと白色のものである。白色のものを「サギゴケ」と呼び(鷺は白い鳥である)、紫色のを「ムラサキサギゴケ」とする説と、「サギ」とは江戸時代の頃から花の形を指していたのだから両者とも「サギゴケ」とする説の2説ある。まあ私には関係ない話だ。「サギソウ(鷺草)」に比べれば「サギゴケ」の花は「鷺」に似ているとはいえない。
上の写真:「サギソウ」無料画像サイトより
「トキワハゼ(常盤黄櫨)」の「常盤」とは永久不変のことで、植物に関していえば冬でも緑の常緑木を指し、「常盤木」「常葉木」などともいう。「トキワハゼ」は多年草で花期も長いことから、他の植物に比べれば「常葉」ということになろう。そして「黄櫨(ハゼ)」とはウルシ科の落葉高木で、実から蝋(ロウ)が採れる。和蝋燭(和ろうそく)はこの木の蝋を使って作られるという。では、なぜ木の名前が「トキワハゼ」に付いているのか。「ハゼ」とは「爆ぜる(はぜる)」のことで、熟した果実の殻の部分が割れて中の実が露出することを言う。「黄櫨(ハゼの木)」も「トキワハゼ」もそのような性質があるから、そこから名付けられたのだろう。と、独断で適当に決めつけているのは、名前の由来が見つからなかったからで、いわば想像である。だから信用してもらっても困る。あくまでも参考意見としてみていただきたい。だが疑問も残る。他にも「爆ぜる」植物はあるから、わざわざ「黄櫨」とする必要はなく、いっそ「常盤爆」とでも名付けたほうが名前の由来が分かりやすいのではないか。
好き勝手にいろいろと書いたが、私にはこの2つの区別がつかない。冒頭と上の2枚の写真が「サギゴケ」で下の写真は「トキワハゼ」だろうか。

追伸(2016.5.6):ひょっとしてこれが「ムラサキサギゴケ」かもしれない(写真下)。最近見つけました。

写真:zassouneko
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