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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

セイタカアワダチソウの栄枯盛衰

植物が繁殖するのは自然界では当然のことです。ところが急速に勢力を拡大している外来種の中には特殊な能力を備えているものがいます。植物は動けないので様々な能力を身につけました。アルカロイドと総称される物質を生産する能力もそのひとつです。虫の嫌がる物質を作り出し、食害から身を守っています。それどころか植物は、それらの物質を体内から放出することも出来るのです。言ってみれば、人が虫を避けるために自らの体から殺虫剤を分泌する能力を手に入れたようなものです。

外来種のいくつかは他者の生育を阻害する物質を根から出していることが知られています。他者に影響を与える作用をアロレパシー(他感作用)といいます。その作用を帰化植物のセイタカアワダチソウを例に挙げて説明したいと思います。この花は明治の頃に北アメリカより観賞用として輸入された花ですが、徐々に野生化して、1960年代頃からは爆発的に増えました。もともと環境にあまり左右されない能力を持っていましたが、さらに根からcis-DMEという化学物質を放出し、他の植物の成長を妨げ、その隙に勢力を拡大しました。一昔前の野原や空き地はセイタカアワダチソウの黄色の花で埋め尽くされました。

しかし不思議なことに、そこまで栄華を誇ったセイタカアワダチソウが衰退し始めたのです。原因は意外な理由でした。最初の頃は強力な化学兵器を武器に勢力を拡大して他の雑草を駆逐していき、周りはセイタカアワダチソウばかりという状態でした。その過密な状態で何年も過ごしているうちに、今度は自分たちに対して成長阻害物質が作用するようになり、ついには成長できなくなってしまったのです。やがてセイタカアワダチソウは数を減らし、それにつれて追い出されていた雑草たちが徐々に戻ってくるようになりました。これは侵略を免れた例ですが、全てがこのような結果になるとは限りません。なぜなら今でも外来種は貨物などに紛れ込んだりして次々と日本へやってきているからです。

写真:zassouneko 「セイタカアワダチソウ」
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