忍者ブログ

雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

ツルニチニチソウ/綺麗な花には毒がある

ツルニチニチソウ(蔓日々草)/キョウチクトウ科/ビンカ属
ヨーロッパ原産の帰化植物 明治の始め頃に渡来 常緑性低木 花期は3〜5月

草と付いているが木である。名前の由来は「ツル」のある「ニチニチソウ」という意味。「ニチニチ(日々)」とは花が1日しか保たず、次々に新しい花を咲かせることから。「ニチニチソウ」は「ニチニチソウ属」で江戸時代の1780年頃に渡来したマダガスカル原産の木である。この「ニチニチソウ」も日本に帰化しているが、寒さに弱く、冬には枯れてしまうので、日本では1年草扱いである。(下の写真が「ニチニチソウ」、その下は「キョウチクトウ」いずれも無料画像サイトより)
「キョウチクトウ(夾竹桃)」(上の写真)も帰化植物で乾燥や大気汚染に強く、そのため街路樹などに多く利用されている。江戸時代の1740年頃に渡来したという。ここまでに紹介した3種の植物は、いずれも毒を持っている。特に「キョウチクトウ」は危険で、樹木全体に毒があるだけでなく、土壌にも毒がまわるという。餌に混入した葉を食べて家畜が死ぬ、バーベキューの串に枝を使用して死亡、また切り花をコップなどに挿していたら、その水を飲んだペットが死ぬ、また刈り取った枝や葉を燃やした煙を吸っても危険だというから、恐るべき威力である。毒性は青酸カリより強いというが、驚くことに、この葉を好んで食べる虫もいるという。 猛毒を持っていても見た目が綺麗なので(しかも丈夫)、街路樹などに利用されているのだ。
花の形が時計回り(右回り)に回転をしているように見える。

「キョウチクトウ」も「ニチニチソウ」も日本で漢方薬として登録されている。とくに「ニチニチソウ」には白血病の原因のガン細胞の増殖を抑制する効果があるという。「ツルニチニチソウ」が登録されていないのは、新しい渡来植物だから日本での研究が進んでいないからだろう。原産地のヨーロッパでは利用されているようである。いずれにしても、これらの植物は危険過ぎるので、個人が勝手に漢方薬として使用することは禁じられている。

江戸時代に渡来した植物は、観賞用という目的もあったが、薬草としての用途が主である。今なら輸入された花などは店先に並び、庶民の楽しみとなるが、昔は大名が持つ薬草園に植えられ、厳重に管理された。現在なら薬はいくらでも売っているが、昔は植物を頼りにするしかなかったのであるから、日本にない新種の植物にかける期待は極めて大きかったのだ。その現状は今もさほど変わっていない。ここで最近の話題を一つ。インフルエンザの治療薬のタミフルの原料の一つは、中華料理で香辛料として使われる「八角(スターアニス)」から抽出された物質が元になっているという。
「ツルニチニチソウ」の「ツル」。のびすぎではないか。

写真:zassouneko
PR