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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

カンナ/美人は森に帰るのか

カンナ/カンナ科/カンナ属
熱帯アメリカ原産の園芸種 多年草 英名:canna 中国名:美人蕉

「カンナ」を漢字で表記しようという気運は高まることはない。英名の読み方そのままをカタカナで表記することにしたようだ。それでも無理に漢字を当てはめると「美人蕉」となる。話は少しそれるが、「森のバター」ともいわれる「アボカド」は漢字で書くと「鰐梨(ワニナシ)」だが、これは中国語でもある。「でもある」と書いたのは、「鰐梨」の文字を中国で見せれば「アボカド」が出てくるだろうし、それは日本でも同じだからである。まあ日本で「鰐梨」を知っている人は多くはないだろうが。本などに「鰐梨」と書いてあったら、それを「わになし」と読んでも、「アボカド」と言っても間違いではない。要はゴツゴツした外観の黒っぽい色の果実が頭に浮かべばいいのである。ただ「アボカド」と読んだ場合は、「本気と書いてマジと読む」というのと同じような約束事を認識していなければならない。だけど「美人蕉」と書いてあっても「カンナ」のことだと気づく人はいまい。

「カンナ」は「ダンドク(檀特)/日本名」という植物を19世紀頃にヨーロッパで品種改良したものだ。もともと同じものであるから「ダンドク」も「カンナ」も中国語では「美人蕉」である。また「カンナ科カンナ属」には「ダンドク」「カンナ」しか属していない。「カンナ」にはたくさんの種類があるようだが品種が違うだけである。

「美人蕉」の名前の由来がはっきりしないので適当に考えてみた。中国語の知識が皆無の者が無理やり日本語で考えるのであるから、的外れの意見になる可能性が高いことは重々承知の上である。根拠の無い話だと思って聞いていただきたい。まず「蕉」は「芭蕉」のことである。「芭蕉」といっても奥の細道の人ではなく、植物の名前である。松尾さんは植物の名を俳号にしたのである。「芭蕉」はバナナの仲間で見た目がそっくりなだけでなく、バナナのような実までつける。両者とも日本には古くから知られているようで、10世紀の書物に記録が見える。だがバナナは日本では育たないので、渡来して定着したのは「芭蕉」である。また両者とも1年で枯れてしまう「草」である。「カンナ」に「美人蕉」とついているのは「カンナ」の葉が「芭蕉」の葉と似ているからだろう。
「ダンドク」は江戸から明治の頃に、「カンナ」は昭和の初めに渡来したという。日本にやってきてから100年ぐらいは経っているが、自生できるようになったのであろうか。園芸種は流行り廃りがあるので、人々が興味を失えば植えなくなる。さて「カンナ」はどうなるか。雑草の心意気を取り戻して、いつか森に帰る日がくるのだろうか。
写真:zassouneko
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