忍者ブログ

雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

ノブドウ/その1/ブドウ科の見分け方〜簡単な方法はコレ

ノブドウ(野葡萄)/ブドウ科/ノブドウ属
在来種 落葉性木 花期:7〜8月

葉の形は変化する
「ノブドウ」と紹介しましたが確信があってのことではありません。植物は呆れるほどに種類が多いので、外見だけではなかなか見分けがつかないのです。そのことを頭に入れて読んで頂けたらと切に願います。「ブドウ科」に属する植物はどれも似ている。それは「ブドウの仲間」と、大きなくくりにする場合には役立ちますが、「属」や「種」を特定するのにはかえって障害となります。「ブドウ科」の植物は「ツタ属」「ノブドウ属」「ブドウ属」「ヤブカラシ属」などに分類されますが、この中から自信を持って「これではない」と言えるのは「ヤブカラシ属」(2015.5.27記事)です。葉の形が明らかに違います。葉の形を比べることは種を特定する重要な手がかりになります。ところが困ったことに「ブドウ科」の植物のほとんどは、成熟しないと葉の最終的な形がわからないのです。

冒頭の写真を見ていただきたい。葉の成長過程が表れている。葉が若いうちは丸みを帯びた三角形をしており、成長するにつれ形を変えてゆく。そうなると成熟した葉の形でもって種を同定することが必要となります。つまり若葉と比べて最も変化をした大きな葉を見つけて、それで種を判断することになるのですが、問題なのは、その葉が変化の最終形だとは断定できないということです。その点において「ヤブガラシ」は分かりやすい。葉が必ず5枚で1組の形でついています。なので「ヤブガラシ属」は外すことができます(下の写真)。
写真:「ヤブガラシ(藪枯らし)」

紅葉する葉、越冬する葉
次に外れるのは「ツタ属」です。「ツタ属」の「ツタ(蔦)」は「夏蔦(ナツヅタ)」とも呼ばれ、通常ならば今の時期(11月初旬)には紅葉が始まっているはずです。そう考えると、この植物は「ツタ」ではないような気がします。えっ、今が夏ならどうするのかって?そうですねー、この判別法だと秋まで待っていただくことになります。気長に待ちましょう。

葉の裏に毛がある
これで、残るは「ブドウ属」と「ノブドウ属」です。ここからが大変な作業になりそうですが、見分ける方法はあります。葉の裏全体に「毛」があれば「ブドウ属」、真ん中の葉脈にだけ「毛」があれば「ノブドウ属」です。では、触ってみましょう。う〜ん、「毛」が有るようには思えないが、「毛がある」とは、どの程度のものなのかな。困った。一応「無い」と判断しておこう。なので「ノブドウ属」とします。
結局、食べてみるのが一番
次の方法は「実」を食べてみることです。甘ければ「ブドウ属」で、そうでなければ「ノブドウ属」です。何て単純な方法だろうか。これこそが「フィールド・ワーク」というやつですね。さっそく味見をしようと思いますが、写真のようにまだ実は青いのです。これでは判断できないので、熟すまで待つことにします。
そしてじっくりと観察
味見するには時間がかかりそうなので、もう少し観察を進めてみます。この草が「ブドウ属」だとすれば候補は「アマズラ」「エビズル」「ヤマブドウ」などですが、最初の2つは写真などで見比べると、葉が全体に丸みを帯びています。ですから違う気がする。次に「ヤマブドウ」ですが、こちらは「ノブドウ」よりも鋸葉(葉の縁にあるギザギザ)が大きくなり、実もたくさん(ブドウのように)つくようです。多分これでもない気がします。

そうなると残りは「ノブドウ属」です。その中に「テリハノブドウ」というのがあり、その名の通り「葉に光沢がある」とされているので、まず除外します。最終候補は「ノブドウ」と「キレハノブドウ」です。両者は同じ種であるとする説もありますし、別の種としている場合も見受けられます。両者を比べると「キレハノブドウ」はもっと葉の切り込みが深く、「カエデ」の葉のようにも見えます。よってこの植物を「ノブドウ」とします。

間違っているかもしれません。まだ味見が済んでいませんし。ちょっと前に見に行ってみたのですが、実は依然として青いままです。このペースでいくと実が熟すのは11月の下旬頃になりそうです。その間に伐採されてしまう可能性もありますが、それはそれでしょうがないですね。雑草ですから(本当は木なんですが)。
写真:zassouneko 撮影:2015.10月中旬〜11月初旬
PR