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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

ゼニアオイ/「銭の花」とは、この花か

ゼニアオイ(銭葵)/アオイ科/ゼニアオイ属
西アジア、ヨーロッパ、北アフリカ原産の帰化種 多年草または越年草 花期:8〜10月

2つの「葵」の関係は
タイトルが60歳以上の人にしか理解できないと思う。50年ほど前に「銭の花」というテレビドラマが放送されていたのだ。それはさておき。「アオイゴケ(2015.10.17の記事)」にも書いたがもう一度書く。日本の在来種に「フタバアオイ(双葉葵)/ウマノスズクサ科」という京都の「葵祭」でも有名な植物がある。また中世に中国から渡来した「タチアオイ(立ち葵)」、「フユアオイ(冬葵)」というアオイ科の植物がある。これらは同じ「葵」とついているが別の植物である。何の関係もない植物に同じ名がついてしまったのである。つまり両者は縁もゆかりもない同姓同名の「赤の他人」である。
「ゼニアオイ」は「タチアオイ」「フユアオイ」の渡来から、かなり後の江戸時代の1700年前後に日本にやってきた。漢方薬にもなるが主な目的は観賞用だ。冒頭の写真の花は小石混ざりの土地に生えているので、背も低く花も少ないが、環境の整った場所で育ったのなら1m以上に成長し、上の写真のように、たくさんの花をつけただろう。これは花壇に植えられていたものです。
どこに銭があるのか
名前の由来は2つある。1つは花の直径が「中国の貨幣(五銖銭)と同じぐらいだから」というものだ。だが検索すると「五銖銭」は10円玉ほどの大きさしかなく、花と比べると明らかに小さい。観賞用として栽培されている内に花が大きくなり、それが今に至っている可能性もあるが、銭の直径と同じような花なら他にいくらでもありそうなので、この説は怪しい。もう1つの説は果実(実などほとんど無いのだが、要は種のできるところ)の部分が銭に似ているというものだ。花びらが散ったあとの子房を上から覗いてみると、中に小さなドーナツのようなものが見える。完全に穴が開いているわけではないが、丸く盛り上がっている。うーん、穴のあいた貨幣と言えないこともないな。画像検索を続けていくと個人のサイトに、取り出した中身の写真を見つけた。そこには濃い茶色を帯びた5円玉のようなものが写っている。ブログ主もこれが「銭」の由来ではないかと述べている。それが自体が種(おそらく中に種がいくつかあるだろう)ではないだろうが、それでも穴のあいた貨幣に見えなくはない。私も「銭葵」の由来はおそらくこれだと思う。

名前の由来として、直感的には分かりずらい命名であるが、ここまでくれば納得はできる。ただ残念なことが1つある。それは中国の五銖銭にしろ江戸時代の貨幣にしろ、穴は四角であるということだ。惜しい、もう少しで完璧だったのに。

写真を追加しました。(2015.12.12)
写真:zassouneko 2015年10月中旬
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