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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

ツワブキ/秋になったら石蕗の里へ出かけよう

ツワブキ(石蕗)/キク科/ツワブキ属
在来種 常緑性の多年草 花期は10〜12月

写真の「ツワブキ」は栽培種だと思うが、日本の在来種でもあるので取り上げることにする。花だけを見ると「キク科なんだろうな」と思うが、葉っぱを見ると「キク科」とは思えない。まあ個人の勝手な意見であるが。植物も多様だと、つくづく思う。

「石蕗」と書くが「石」を「ツワ」とは無理がある
名前の由来は「艶のある葉をもつ蕗」→「艶葉蕗(ツヤハブキ)」→「艶蕗(ツヤブキ)」→「ツワブキ」という説が有力だ。フキノトウでおなじみの「蕗」の葉には艶がないのである。それはいいが「ツワブキ」がなぜ「石蕗」と表記されるのか? 「石」はどこからやって来たのか。調べてみたが、はっきりとしない。海岸沿いに自生し、また明るい半日陰を好むとあるから、その結果、海岸沿いの岩陰などによく見られるようになり、「石蕗」と書かれるようになったのかもしれない。あくまでも個人の推測である。

日本最古の書物の1つ「出雲国風土記」の中に「ツワブキ」は「都波」と記載されているという。「都波」をどう読むのかは分からない。「ツハ」「ツワ」「トハ」「トワ」のいずれかだろうか。この中に「ツワ」があるからといって、今の「ツワブキ」と関連があると結論をだすのは、性急すぎる。資料が余りにも足りないからだ。ただ発音が似ているだけで関係が無いようにも思える。「出雲国風土記」は「古事記」より前の書物だが、なぜだか以降の書物には「ツワブキ」にあたる植物が見当たらない。「万葉集」「枕草子」「徒然草」や「奥の細道」にも「ツワブキ」は出てこないようだ。芭蕉の第一の門弟である宝井其角が「石蕗」が入った句を残しているぐらいだ。その他の作品に出てくる「石蕗」は、いずれも近代のものだった。見落としがあるかもしれないが、晩秋から初冬にかけて花を咲かせる「ツワブキ」に言及していないのは、かえって不思議な気がする。

「ツワブキ」は「蕗」と同じように灰汁抜きをすれば食べられるが、しっかり処理をしないと肝臓に影響を及ぼすので注意が必要である。だが「蕗」は抗菌作用のある漢方薬としての利用もされている。西洋では「蕗(セイヨウブキ)」の葉でバターを包んで保存したという。実際に抗菌作用と抗酸化作用の効果があるようだ。
雨の日には蕗の葉の傘を
「蕗」に関する話として、蕗の葉の下に住む「コロポックル」に関する民話が北海道にある。詳細は避けるが、フキの葉の下に隠れるほどの小さな人間に似た存在が、かつては住んでいたという。なかなか趣きのある話である。ところが「蕗」の中には人の背丈を越えるものもあり、葉は雨傘よりも大きくなる。「アキタブキ」がその代表である。北海道にも同じような「フキ」が自生しているらしいので、こうなると「コロポックル」も小人の話であるとは言えなくなる。いい話なのに。

和風の庭には「深緑」が似合う
「ツワブキ」「トクサ」「リュウノヒゲ」と石、砂、小さめな灯篭があれば小粋な和風庭園が出来上がる。日本版のロックガーデンといってもいいだろう。通常の日本庭園に比べれば手入れは簡単だ。

島根県の西にあり、山陰の小京都ともいわれる津和野は「ツワブキの野」の意味だという。
写真:zassouneko
追記&補正:タイトルを「石蕗の里はどこにある?」から変更しました。(2015.11.7)
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