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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

アオイゴケ/命名者にはレッドカードを/その1

アオイゴケ(葵苔)/ヒルガオ科/アオイゴケ属
在来種 多年草 花期は4〜8月

●「葵」はもともとは「アオイ科」の植物のこと
●「葵の御紋」に使われているのは「フタバアオイ」であるが、「アオイ科」の植物とは花も葉も似ていない。ヒマワリとクローバーを比べるようなものだ。

※追記&訂正(2015.11.4)事実誤認がありました。それは中国から渡来した「葵(アオイ/タチアオイ、フユアオイ/アオイ科)」と日本在来種の「アオイ(フタバアオイ、カンアオイ/ウマノスズクサ科)に共通する「アオイ(aoi)」という文字と発音です。両者を「葵」と漢字表記してしまうと、どちらか一方が名前を引用、参考にしたと考えがちです。先にあった名前を後から来た植物の一部に流用するというような場合です。実際、植物の命名にはその方法が多く使われています。桜とは生態学上では何ら関係がないのに「サクラソウ」、「秋桜(コスモス)」などと名付けます。「アオイ」に関する問題点は、外国から来た「葵」を「aoi」と読んだことと、在来種の「アオイ」に「葵」の漢字を宛てたことによっておきた混乱です。両者を「葵」と漢字表記すれば、何かしらの関連性があると考えるのが人の常です。つまり両者とも「aoi」と発音して、漢字で「葵」と書きますが、何の関係もない別物だということです。名前に引きずられてしまいました。お詫びします。(2015.11.4)

最初に見た時の感想は「えーと、カイワレ大根?」だ。少し前に、この草と似ている「チドメグサ(2015.9.27)」を見つけていたので、それに近い種類だと考えていた。おかげで名前が判明するのに随分と時間がかかってしまった。ちょっと失敗。

それにしても、これほど名前の由来がハッキリとしない植物は初めてである。まず「コケ(苔)」が違う。コケ類の植物ではないのだ。「コケ」と共通するところは地面に這うように生えているという見かけだけである。それに「コケ」と付けると素人(私のことだ)は「苔」の仲間と思ってしまう。それが「朝顔」や「昼顔」と同じ「ヒルガオ科」であるとは。名付ける時にもう少し考えてほしいものだ。

「コケ」と名付けた件はまあいい。善意で分かりやすい名前を付けたと考えればいいだろう。だが困ったのが「アオイ(葵)」である。普通「葵」と言えば徳川家の家紋の「三つ葉葵」が最初に頭に浮かぶだろう。これは「フタバアオイ」の葉を120度の角度で3つ並べたもので、トランプのスペードのマーク(♠︎)とほぼ同じ形だ。「フタバアオイ」は京都の三大祭(祇園祭、葵祭、時代祭)の「葵祭」で用いられる重要なアイテムである。まあ古来からの「祭」といっても長年続けていく内に肝心の信仰が忘れられたり、様式が変容したり、勝手な解釈(現代的な)を付けたり、ただのバカ騒ぎになったり、観光のためだけに行われたりという結果になる場合もあるのだが。これはあくまでも一般論であって「葵祭」のことを言っているのではない。ご注意を。話が横に逸れたようだ。
上の写真は小さな公園で撮ったもの。見にくいと思いますが一面に広がっているのは、ほとんどが「アオイゴケ」です。

「その2」に続きます。

【参考】植物の「科」に「アオイ科」というのがあり外来種が多い。平安時代に中国から「フユアオイ」「タチアオイ」がやってきたという。食用や薬用(漢方薬)が目的である。これらも「アオイ」で、漢名も「葵」と書く。なぜ、そう呼ぶようになったのかは分からなかった。その当時(平安時代)から地味な「フユアオイ」に比べ、派手な「タチアオイ」の方を「葵」と呼ぶようになっていたという。「フユアオイ」は今では雑草化(帰化)しており、海岸近くでよく見かけるという。

写真:zassouneko 撮影:2015.10.5〜17
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