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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

ハタケニラ/誤解を招く名前は付けちゃダメ

ハタケニラ(畑韮)/ヒガンバナ科/ネギ亜科/ステゴビル属
北・南アメリカ原産の帰化植物 多年草 花期は5〜6月

花も葉も全体の形もニラとそっくり。しかも誤解されやすい名前である。
●繁殖力が旺盛で、私の住んでいる地域でも勢力をのばしているのが実感できる。

別項の「ニラ/誤食が後を絶たない訳は(2015.9.6投稿)」で「正体不明」としていた草の正体が判明したので報告します。実は早急に調べようと思っていたが、すっかり忘れてしまっていたのだ。

「畑のニラ」なら栽培種じゃないのか
明治中期か以降に観賞用として輸入された。それにしても名前が悪い。「畑」の「ニラ」なら食べられる普通の「ニラ」のことではないだろうか。写真を見ていただくとお分かりになるだろうが、ほとんど「ニラ」である。幸いなことに毒があるとの記述は見当たらないので誤って食べても身体への影響は少ないと思われる。「不味い」というのが主な被害だろう。厚生労働省も「タマスダレ」への注意は呼びかけているが「ハタケニラ」には言及していない。
どこにでも生える繁殖力
繁殖力が旺盛(上の写真)で根でも種でも増える。駆除をするには花が咲く前に根ごと抜き取ることが必要だが、球茎のまわりに小さな鱗茎(ユリ根を想像していただきたい)が付いているので、引き抜く際に鱗茎がちぎれて残ってしまうのだ。農家が手を焼く強害雑草である。「ハタケニラ」とは畑に生えてくる迷惑な雑草という意味なのだ。あー紛らわしい。また、どの資料を見ても花期は春から初夏(5〜6月)となっているが、撮影したのは9月に入ってからである。ヒートアイランド化で咲く時期が延びているのか、それとも全く違う植物なのだろうか。疑問が残る。

上の写真は「ニラ」だと思われる。ちゃんと「ニラ」の匂いがする。

どうやって見分けるのか
「ニラ」との違いは葉を細かくちぎって匂いを嗅げばすぐ分かるだろう。次に花の大きさだ。「ハタケニラ」の方が大きい。最初の写真を見ていただきたいが、接写が出来ない私のデジカメでもここまで写る。上の写真がニラであるが、そこまで寄って撮影できないのだ。最後の判別法は葉を触ってみてほしい。「ハタケニラ」は葉の付け根から先端にかけて中央部分に嶺(みね)があり、葉の裏側が「山」で表が「谷」になるように僅かな折り目がついている。対して「ニラ」は1枚の軟らかい紙のように扁平である。

「ニラ」の仲間は「ユリ科」に分類されていましたが、最近の分類法(APGⅢ)だと「ヒガンバナ科」になります。また冒頭の「ステゴビル属」は「捨て子韮(蒜)」と書き、他の蒜と比べて「役に立たないから捨ててしまえ」という可哀想な名前である。「ステゴビル」は日本の在来種で数を減らしています。埼玉県の坂戸市に群生地があり、県の天然記念物に指定されているという。

写真:zassouneko
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