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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

フヨウと秋の夜長を呑み明かす

フヨウ(芙蓉)/アオイ科/フヨウ属
中国原産の帰化植物で木本 花期は7〜10月 別名(漢名):木芙蓉(ぼくふよう)

堂々とした趣がある
古くに日本にやって来たとあるが時期は不明。江戸時代(1800年頃)にはあったようだが、それ以前は億劫だったので調べていない。平家物語(年代不詳13世紀中頃?)に「芙蓉」の花が出てくるようであるが。朝にピンクや白の花を咲かせて1日でしぼむが、蕾が次々に開花するので長い間花を楽しめる。

「芙蓉」は木である。雑草ならぬ雑木?
古代の中国では「木芙蓉」と呼び、日本ではただの「芙蓉」である。日本では「木」を略したようだ。一説によると中国では「蓮(ハス)」の花の美称(褒めて言うこと)に「芙蓉」をあてたとある。だが、そうなると陸上の「芙蓉」の方が先ということになるので花としての優位性は上になるような気がするが、そうではないだろう。泥の中から芽を出し、美しい花を咲かせる「蓮」は仏教の重要なアイテムであるからだ。おそらく陸の花の方には、その当時「芙蓉」という名が付いておらず、その花が「蓮」の花に似ていたので、「木芙蓉」と呼ぶようになったと思われる。「蓮」は「ハス」と呼ぶが「水芙蓉」とも呼ぶらしい。

「水芙蓉」「木芙蓉」と揃ったところに近年になって「草芙蓉」が現れた。これはアメリカ原産の「アメリカフヨウ」のことで、こちらは「木」ではなく「草」だからである。ついでに「阿芙蓉」について少し書く。麻薬のアヘンを英語では「opium」と表記し、中国では発音から「阿片」とした。日本に「アヘン」がやってくると中国の発音を聞いて「阿芙蓉」と書くようになった。「芙蓉」とは何の関係もないので、いい迷惑だ。もっとも遠くから花の部分だけを薄目を開けて見れば似ていないこともないが、全体の作りはまるで違うのである。

「芙蓉」の学名はhibiscusで始まる。南国の花「ハイビスカス」と同じ仲間である。名の知れたものでは「綿(ワタ)」「ムクゲ(木槿)」「オクラ」も同じ科である。ついでに「オクラ」は英語で「okra」と書く、アフリカ原産の植物だ。「芙蓉」の中に朝には白い花を咲かせるが、夕方になると、その色がピンクに変化する種がある。これを「酔芙蓉(スイフヨウ)」といい、シラフの人が酒を飲み進めるにつれて、だんだんと顔が赤らんでいく様子を表している。ただ「スイフヨウ」と発音すると「水芙蓉」とごっちゃになる。 

「芙蓉」は早寝早起き
秋の夜長に「芙蓉」の花を眺めながら、ちょっと一杯と古代中国の詩人達は思ったかもしれない。ただ残念ながら「酔芙蓉」は完全に「できあがった」状態でだらしなくうな垂れ、他の健康的な「芙蓉」達はすでに就寝の時間なのである。「芙蓉」は夜のつき合いが苦手なのである。
「フヨウ」の咲いている様子。ちなみに「フヨウ」の手前は「オランダハッカ(スペアミント)」、後ろ一面は「エノコログサ」です。

追記&訂正:2015.12.13/文章を追記し、写真も追加しました。
写真:zassouneko 撮影2015年10月上旬
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