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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

チドメグサ/サバイバリストの血は騒ぐ

チドメグサ(血止草)/ウコギ科/チドメグサ属
在来種 多年草 花期は6〜10月

名前の由来は、この草を揉んで、その汁を傷口に塗れば出血が止まることからだ。植物の名に直接的な薬効名がついているのは珍しいといえる。日本の在来種であるから昔から生えていた訳である。もしかすると手傷を負った忍者が身を潜めて傷の手当をしながら反撃に備えるような事態があったのかもしれないと想像してしまう。ちょっと前なら「ランボー」で、現在なら「ベア・グリルズ」といったところか。残念ながら彼らは日本で活躍はしないと思うが。また男子ならば、「チドメグサ」の利用法をサバイバル術として覚えておいて損はないと考えるだろうが、それが役立つ時は永久にこないのが現状である。

それにしても小さい。あまりにも小さい。私の10年前のデジカメではこれが接写の限界である。見にくくて申し訳ない。この雑草の葉の直径はだいたい1cm前後なので、まとまっていなければ見過ごしてしまいそうである。花期には黄色の花をまとまって咲かせるそうだが、それも数ミリの大きさだという。それでは咲いているのかどうかさえ判別しづらい。私はすでに老眼なのだ。ご多分にもれず「チドメグサ」の仲間も数種類もいるのだが、その中で一番小さいのが、この「チドメグサ」である。この雑草が歴史的な文献に登場するのは、確認した限りでは江戸時代にはいってからであるから、それまではあまり注目をされなかったようだ。これでは「血止め」の効果に過剰な期待をするのは考えものだ。ところが漢方薬の世界では「血止め」の効能のみならず解熱や利尿にも効果があるとされている。一応れっきとした薬草なのである。

一見すると、それぞれの葉が地面から直接生えているように見えるが、枝(ツルと言ってもいいか)を横にのばしながら節から次々と根と葉を出していくので、それが地面にへばりついているように見えるのである。この雑草は一面に芝生を植えてあるような場所からも生えてくることがあり、そうなると芝生の根と「チドメグサ」の根が絡み合って駆除が大変になるそうである。つまりゴルフ場の天敵となっているのだ。あまりにも小さいので弱々しく見えるが実はたくましい雑草である。

あまり関心をひかない話題だとは思うが「チドメグサ」は「カラカサバナ科(昭和の初めごろ)」→「セリ科(昭和から現在まで)」→「ウコギ科(新しい分類によると)」と所属が転々としている。現在では「セリ科」でも「ウコギ科」でも可である。これは科学的にどうこうというよりは、分類の仕方(方法)の問題である。まあ、いずれ落ち着くところに落ち着くだろうけど。
2015年の夏に福岡の河川や水路に「ブラジルチドメグサ」という水草が大発生して、迷惑を被っているとの記事を見つけた。アクアリウム、いわゆる熱帯魚の水槽の水草として利用されていたものが、故意の流出(水路などに捨てたのだろう)と気象条件なども重なって爆発的に増えてしまったものらしい。まあ、毎年似たような話が世間を騒がせてはいるようである。この水草は「〜チドメグサ」と名前が付いてはいるが、それは単に葉の形が似ているからで、おそらく別の科の草だろうと推測していた。写真を見る限りは「チドメグサ」と比べるとかなり大きい。ところが調べてみると同じ「ウコギ科」ではないか。よく見れば両者とも学名が「hydro-(水の、水素の意)」で始まっている。そうか、陸上に生えている方が少数派だったのか。

写真:zassouneko 2015.09.27 名古屋市東区にて
冒頭の写真の中央の丸いものはドングリである。どけようかと思ったが季節感を表わそうと考えてそのままにした。この場所で写真を4枚ほど撮ったのだが、その短い間に2ヶ所も蚊に刺されてしまった。蚊も少し涼しい季節の方が活動的になるようだ。
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