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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

ヨモギ/雑草界のスーパースター/その2

「与毛木(ヨモギ)」の語源は、はっきりとはしていないようで色々な説がある。枯れて乾燥した本体が木質化して、よく燃えることから、「よく・もえる・き(木)=よもぎ」という駄洒落のようなものもあれば、繁殖力が強く「四方(しほう=よも)」に拡がるから「よもぎ」という説もある。実際、農家では繁殖力が強い注意すべき雑草として「ヨモギ」を見ているようだ。

3月3日の「桃の節句」にお供えする菱餅は下から緑、白、赤(ピンク)になっており江戸時代に定着した行事であるという。「雛祭り」ではなく「桃の節句」としたのは、あくまでも「桃の節句」が主であって、雛人形を飾るのは従であるからだ。菱餅の赤はクチナシで色をつけ桃(不老長寿の象徴)の色を表し、白は菱の実を入れ残雪を表現しており、これは清浄の象徴でもある。「蓬」が使われる緑(昔は母子草が使われていた)は生命あふれる春の到来を感謝する意味であり、緑あふれる大地を表現しているともいう。

「ヨモギ」と一口に言っても色々な種がある。ざっと確認したところ「ヨモギ」「オオヨモギ(ヤマヨモギ)」「イワヨモギ(エゾヨモギ)」「イヌヨモギ」「ヒメヨモギ」「オトコヨモギ」とある。名前の後ろに( )がついているのはおそらく同じ種を表しているとこちらで勝手に判断した。「ヤマヨモギ」=「エゾヨモギ」としている場合もあるが、「イワヨモギ(北海道に生えている)」は「エゾヨモギ」と「蝦夷」をキーワードにすれば同じものと考えられる。そして「ヤマヨモギ」の「ヤマ」は自然あふれる山ではなく、単に「大きい、荒々しい、粗野」という意味ではないかと思う。「オオヨモギ=別名ヤマヨモギ、エゾヨモギ」としているところもあり、よく分からんのである。

このブログの「ヨモギ/雑草界のスーパースター/その1、2」で使用した写真は「ヨモギ」と「オオヨモギ」ではないかと思っている。写真で見る限り、葉の形が野菜の春菊を連想させるヨモギは、この両者しか見当たらない。「イワヨモギ」も春菊の葉に似ているが自生しているのが北海道なので除外した。「ヨモギ」と「オオヨモギ」の違いは背丈の高さと葉の先端部分の形である。「ヨモギ」は葉の先端が丸く、「オオヨモギ」は尖っているのだ。「春菊の葉のイメージ」が伝わっているかどうか不安ではあるが。
ここからは余談であるが「草餅」は上新粉(米粉)で「笹だんご」や「菱餅」は餅米で作られている。まあ食べる方からすればどうでもいいことである。私は「あんこ」が好きで、それも「コシ」より「粒アン」だ。好物といっても、しょっちゅう買う訳ではないが、たまにコンビニで「あんドーナツ」を買わずにいられなくなる。別に映画「妖怪大戦争」の影響ではない。

「草餅」などの食用に利用されるのは「ヨモギ」の春の若葉であるが、利用法は食用ばかりではない。「ヨモギ」は漢方薬の世界では万能薬といってもいい。簡単にあげると胃腸薬、高血圧、切り傷、虫さされ、かゆみ止めや入浴剤でもOK。どうやら多量に含まれている葉緑素(クロロフィル)が抗菌剤としても優秀で、免疫を高める効果もあるということらしい。また変わったところでは織田信長が「ヨモギ」から黒色火薬の原料の一つである硝石を生成したという話もある。「ヨモギ」の薬効について興味がおありなら「ヨモギ、漢方薬」で検索をかけて信頼できるサイトを参考にしていただいた方が参考になると思う。

「蓬莱山」とは古代中国で考えられていた空想の山で、陸から東に遠く離れた島にあり、そこには仙人が住んでいるという。伝わっている話としては始皇帝の命を受け探索に乗り出した、いわゆる「徐福伝説」が有名である。人にとって万能とも思える効能を誇る植物と同じ名の「蓬」という字が使われているのは偶然ではないような気がする。と、意味深な発言をしても元々は間違って付けられた名前であることを忘れてはいけない。それに後年、日本にもこの話は伝わっており、日本の東の海上に「蓬莱山=極楽」があると言われるようになった。ひょっとしてその場所はハワイのことか。


写真:zassouneko
冒頭の写真(「オオヨモギ」と思われる)は3月下旬、上は8月中旬撮影(こちらは「ヨモギ」だと思うけどなあ)。
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