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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

ニラ/誤食が後を絶たない訳は

ニラ(韮)/ヒガンバナ科/ネギ属
多年草 花期8〜9月 別名:フタモジ、ミラ、コミラ

「スイセン」を「ニラ」と間違って食べてしまう事故が毎年数件は発生する。両者とも「ヒガンバナ科」なので葉や花の特徴が似ている。2015年4月に岡山で発生した中毒事件は「スイセン」と「ニラ」をプランターで栽培していたことから、うっかり混ざってしまったらしい。本人たちは区別がついていたと想像するが、刈り取る際に混入する場合もある。「スイセン」の葉の方が幅広で短く、また厚さもあり色も濃いのであるが、もし混ざってしまった場合には、「ニラ」の葉の個体差としか捉えられなくなってしまう。少し太い「ニラ」の葉と考えてしまいがちだ。これがひとかたまりで地面に植わっている状態ならば区別は比較的容易だろう。また花の形は明らかに違うのであるが、よく知らないと間違える。この場合の問題点は花の時期が違うことにもよる。「スイセン」は1月の終わり頃には咲くので、「ニラ」の花が咲く時期(8〜9月)には、「スイセン」の花は残っていないのである。そうなると葉を見て区別をつけなくてはいけなくなる。まあ一番確実なのは匂いを嗅いでみることだ。「ニラ」の持つ独特の匂いは、他の植物にはない。

葉が似ていると思われるものをあげておく。下は「タマスダレ(玉簾)/ヒガンバナ科/タマスダレ属」と思われる。ブラジル原産の帰化植物だ。花は「ニラ」と同時期に咲くので、区別はつくだろう。
下の写真は「スノーフレーク/ヒガンバナ科/スノーフレーク属」と呼ばれるヨーロッパ原産の帰化植物である。花期が3〜5月なので、花が枯れてしまうと、葉を「ニラ」と間違えるかもしれない。この花の雰囲気は、猛毒を持つ「スズラン」に似ている。ただし「スズラン」は、こんな暑い街中には生息できないし、葉の形がまるで違う。
次の植物の見た目が微妙である。名前がまだわからないのであるが、「ニラ」と違うところは、花の大きさと数である。また、あの独特の匂いもない。でもまぎらわしい。
さて、今まで「匂い」が判別法として確実だと力説してきたが、それが崩れる事態が発生した。「ハナニラ(花韮)/ヒガンバナ科/ハナニラ属」の登場である。この辺りでは見かけないので写真がなく、申し訳ない。アルゼンチン原産で明治時代にやってきたという。「タマスダレ」に形が似ている花である。花期は春なので、夏にもなれば花が無くなってしまうだろう。一番の問題点は葉っぱから「ニラ」の匂いがするのである。しかも「毒草」である。これはやっかいだ。

余談であるが、「誤食」「誤飲」という言葉について。これらの言葉は最近になって出来た言葉らしい。私の持っている辞典には両方のっていないのである。新たな言葉が必要とされるほどの事態になっているのだろうか。
写真:zassouneko
追記:上の植物の名前がわかりました。「ハタケニラ」です。詳しい内容は別項(2015.10.13)をご覧ください。 
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