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雑草探偵団

おっさんの雑草観察記です。花がどうとか生態がどうしたとかの科学的な興味はあまりありません。興味があるのは歴史や名前です。人との関わりや何でその名前になったのかに興味があります。その辺りを想像や仮定を交えながら書いています。個人の勝手な妄想のようなものですから、あまり信用してはいけません。また、このサイトはライブドアブログとミラーサイトになっています。何かあった時のバックアップです。

ウラジロチチコグサ/だから父親は嫌われる?

ウラジロチチコグサ(裏白父子草)/キク科/チチコグサモドキ属
南アメリカ原産の帰化種 多年草 花期は夏

名前の由来は葉の裏が白い「チチコグサ」ということである。昭和40年代の後半に侵入したと思われる。似ている植物に「ハハ(母)」「チチ(父)」のような対比させる名前をつけるのは、よくあることだ。いつものことだが種の特定に迷っている。「チチコグサ」をとりあえず確認したところ以下の通りであった。
・エゾチチコグサ/在来種 エゾチチコグサ属 紅い花をつける 北海道に自生しているので、ここでは除外。
・チチコグサ/在来種 チチコグサ属
・チチコグサモドキ/大正末期から昭和初期に渡来 熱帯アメリカ原産 チチコグサモドキ属
・ウスベニチチコグサ/1930年代に渡来 アメリカ原産 チチコグサモドキ属
・タチチチコグサ/渡来時期不明 アメリカ原産 チチコグサモドキ属
そしてウラジロチチコグサである。

「ハハコグサ」に対して「チチコグサ」があるというのは知っていた。「ハハコグサ」が化粧をしているように黄色の花をつけるのに対して「チチコグサ」はなんだか見すぼらしい。頭部は薄茶色と白色の部分が混在し、そのため花の存在が分かりずらい。葉っぱも薄い色をしており形は歪んでいる。なんだが全体的にぼんやりとしている印象で半分枯れているようにも見える。どの草を見てもコンディションが悪いような感じだ。今回、改めて撮りためた写真の中から「チチコグサ」を探してみたが5枚ほどしか見当たらない。それは、みすぼらしく見えるので写真を撮るのを止める場合が多かったからである。つまりちゃんとした状態の「チチコグサ」に出会ったら撮影しようと考えていたのだ。ところが「チチコグサ」はこれが普通の姿だったのである。

「ハハコグサ」も全体的にぼんやりとした印象であるが黄色の花がつくのが救いである。全体の印象をよく言えばパステル調と表現できる。母親がぼーっとしているのはまだいいが、父親がボンヤリとして、しかも見すぼらしいとなれば世間は冷たい。娘にも嫌われるぞ、と思ったが彼らは夫婦でも何でもないのであった。

「ハハコグサ」は春の七草(食べても美味しくないそうである、特に毛が邪魔という話が…)で有名で、また薬草として利用されたりするが、それに比べ「チチコグサ」には何の特徴もないし、文献にも現れてこないようである。唯一「跡見学園女子大学HP 跡見群芳譜」に「中国では全草を薬草にする」との記述があったが、このHPによると中国ではほとんどの植物を薬草として扱うようなので、「チチコグサ」の名誉回復とまではいきそうもない。なんだか可哀想な感じがしてしまうのは、無意識のうちに「チチ」と「ハハ」という対比をしてしまうからだろう。

さて下の写真は「チチコグサ」か「チチコグサモドキ」か「タチチチコグサ」か、私にはさっぱり見当がつかないのである。

追記:2015年8月18日/冒頭の写真の草を「ウラジロチチコグサ」とした理由は、葉の色が他の「チチコグサ」に比べて明らかにあざやかな緑色をしているという単純な理由である。なにしろ他の「チチコグサ」葉っぱの色といったら…。
写真:zassouneko
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